令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 104

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問 104  正答率 : 43.9%

 国家試験問題

国家試験問題
次の反応と生成物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

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1 イミダゾールは、ピリジンより弱い塩基である。
2 破線で囲んだ部分構造aよりも部分構造bの方が、脱離して生じるアニオンの共役酸のpKaが小さい。
3 CH3NH2は、塩基として働いている。
4 シアノ基は、電子供与性基である。
5 破線で囲んだ部分構造cは、グアニジンよりも高い塩基性をもつ。

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問 104    

 e-REC解説

解答 2

塩基とはプロトン(H)を受け取る化合物であり、一般に窒素原子の電子密度が大きいほど、塩基性は強くなる。また、共役酸が安定なほど、もとの塩基の塩基性は強くなる。

1 誤
イミダゾールとピリジンの塩基性を示す窒素原子の非共有電子対(ローンペア)はともにsp2混成軌道に収容されているため、同等の塩基性を有しているように見えるが、共役酸を比較した際、イミダゾールの共役酸は2つの窒素原子上に正電荷を非局在化するためピリジンの共役酸より安定であるため、イミダゾールの方がピリジンより強い塩基となる。
スクリーンショット 2021-06-10 12.04.42.png


2 正
部分構造aとbが脱離して生じたアニオン(塩基)の共役酸をA、Bとすると、Aはアミン、Bはチオールである。アミンとチオールでは、チオールの方が高い酸性度を持つため、Bの方が酸性度が大きくなり、pKaはBの方が小さくなる。
スクリーンショット 2021-06-10 12.04.42_tmpBB54.png


3 誤
CH3NH2は、プロトンと反応していないことから塩基として働いておらず、求核剤として働いている。
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4 誤
シアノ基(−C≡N)は電子求引性基である。

5 誤
破線で囲んだ部分構造cは、グアニジンに電子求引性基であるシアノ基が結合しているため窒素原子の電子密度が低下することにより、プロトンを受け取りにくくなるため、グアニジンよりも塩基性が低くなる。
スクリーンショット 2021-06-10 12.08.23.png

なお、本反応はシメチジンの合成反応であり、最終生成物がシメチジンである。
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