令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 175

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問 175  正答率 : 52.1%

 国家試験問題

国家試験問題
肝代謝のみで消失する薬物について、血漿タンパク結合に飽和が認められ、投与量の増加に伴い血中タンパク非結合形分率(fu)が増加していた。この薬物を経口投与したとき、投与量と血中濃度時間曲線下面積(AUC:実線)、及び投与量と非結合形薬物のAUC(fu × AUC:点線)の関係として、適切なのはどれか。1つ選べ。なお、肝血流速度、この薬物の吸収率及び肝固有クリアランスは投与量が増加してもいずれも一定であり、肝での消失はwell−stirred modelに基づくものとする。

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問 175    

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解答 3

【Ⅰ:投与量と血中濃度時間曲線下面積(AUCpo:実線)のグラフについて】
薬物の体内動態が線形性を示す場合、投与量と血中濃度時間曲線下面積(AUCpo)は比例関係となる。したがって、横軸を投与量、縦軸を血中濃度時間曲線下面積(AUCpo)とすると右上がりの直線となり、傾き(AUCpo/投与量)は常に一定となる。ここで、血漿タンパク結合に飽和が認められた場合、薬物の体内動態は非線形性を示し、非結合形薬物は組織へ分布しやすくなるため、飽和が生じてない場合よりも傾き(AUCpo/投与量)が小さくなる。

【Ⅱ:投与量と非結合形薬物のAUCpofu × AUCpo:点線)のグラフについて】
well−stirred modelにおける肝クリアランスCLhは①式で表され、AUCpoは②式で表すことができる。

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問題文より、「肝でのみ消失する薬物」とあるため、CLtotCLhと等しくなり、②式を③式に変換することができる。

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また、バイオアベイラビリティFは、④式で表すことができる。

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ここで、肝抽出率EhCLh/QhFh=1-Eh、問題文より、「肝でのみ消失する薬物」とあるためFg=1であり、④式を変換すると、⑤式となる。

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⑤式のCLhに①式を代入すると、⑥式となる。

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③式に①式と⑥式を代入すると、⑦式となる。

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ここで、問題文より、「吸収率及び肝固有クリアランスは投与量が増加してもいずれも一定」とあるため消化管粘膜透過率Faと肝固有クリアランスCLintは、投与量に依存せず一定であることがわかる。
したがって、⑦式より投与量Dpoと非結合形薬物のAUCpofu × AUCpo:点線)は比例関係となる。

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