令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 250,251

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問 250  正答率 : 61.6%
問 251  正答率 : 58.1%

 国家試験問題

国家試験問題
問250〜251
35歳女性。身長160 cm、体重48 kg。学生時代より重度の花粉症のため、投薬治療を受けていた。1年ほど前より片頭痛が徐々に強くなり、かかりつけ医を受診して以下の処方1で治療を受けている。

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問250(薬理)
処方1で片頭痛の治療及び予防の目的で処方されている薬物の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。

1 5−リポキシゲナーゼを阻害して、ロイコトリエンの合成を阻害する。
2 Naチャネルを遮断してグルタミン酸の遊離を抑制する。
3 Ca2+チャネルを遮断して頭蓋血管を拡張する。
4 セロトニン5−HT1D受容体を刺激して三叉神経からのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の遊離を抑制する。
5 シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)を阻害して、プロスタグランジンの生合成を抑制する。


問251(実務)
帰宅後に発熱、倦怠感、喉の痛みを自覚し、近医を受診した。急性扁桃炎と診断され、処方2が処方された。

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処方1との併用を考慮し、かかりつけ薬剤師が行う疑義照会として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 モンテルカストの作用が増強するおそれがあるため、アセトアミノフェン錠を半量にする。
2 血栓形成のおそれが強くなるため、トラネキサム酸錠を半量にする。
3 エレトリプタンの作用が増強するおそれがあるため、エリスロマイシン腸溶錠をアジスロマイシン錠に変更する。
4 ロメリジンの作用が減弱するおそれがあるため、エリスロマイシン腸溶錠をアジスロマイシン錠に変更する。
5 肝機能が悪化するおそれがあるため、アセトアミノフェン錠をイブプロフェン錠に変更する。

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問 250    
問 251    

 e-REC解説

問250 解答 3、4

処方1の薬物の作用機序は、それぞれ以下の通りであり、片頭痛の治療及び予防の目的で処方されているのは、エレトリプタンとロメリジンである。

エレトリプタン:
エレトリプタンは、セロトニン5−HT1B/1D受容体刺激作用を有し、5−HT1B受容体の刺激により頭蓋血管を収縮させ、5−HT1D受容体の刺激により三叉神経から遊離するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やサブスタンスPなどのニューロペプチドの遊離を抑制することで、頭蓋血管の拡張や血管透過性の亢進を抑制する片頭痛治療薬である。

ロメリジン:
ロメリジンは、Ca2+チャネルを遮断し、頭蓋血管を拡張させる片頭痛予防薬である。

モンテルカスト:
モンテルカストは、ロイコトリエン受容体を遮断し、抗アレルギー作用を示すアレルギー性鼻炎治療薬である。


問251 解答 3

処方1と処方2を併用する場合に注意が必要なのは、エレトリプタンとエリスロマイシンの組み合わせである。エレトリプタンは、CYP3A4で代謝を受けるため、CYP3A4阻害作用を有するエリスロマイシンとの併用で血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるため、両薬物は併用注意とされている。一方、同じマクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシンには、CYP3A4阻害作用が確認されておらず、エレトリプタンとの併用は問題ないため、エリスロマイシン腸溶錠をアジスロマイシン錠に変更する疑義照会の提案が最も適切である。

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