令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 338

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問 338  正答率 : 73.3%

 国家試験問題

国家試験問題
75歳男性。PS1、HER2陰性、切除不能進行・再発胃がんに対して一次治療としてカペシタビン+シスプラチン併用療法を施行するも無効であった。二次治療としてイリノテカン単独の化学療法を行うことになった。外来化学療法を受ける患者に対する薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 本剤単独療法の期待される効果について説明を行った。
2 薬物の溶解液に高濃度のエタノールが含まれているので車の運転は控えることを指導した。
3 UDP−グルクロン酸転移酵素の遺伝子多型により腎機能障害の発現に違いがあることを説明した。
4 本剤単独療法では遅発性副作用のみ報告されているため、副作用の詳細について化学療法施行後に説明した。
5 本剤単独療法の重篤な副作用は下痢と骨髄抑制の報告が多いことを説明した。

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問 338    

 e-REC解説

解答 1、5

1 正

2 誤
イリノテカン塩酸塩水和物注にはエタノールは含まれていないため、車の運転は控えるよう指導する必要はない。

3 誤
イリノテカンの活性代謝物であるSN-38は、主作用として抗腫瘍作用を示すと共に、副作用として下痢と骨髄抑制を引き起こす。
また、SN-38は主にUGT1A1(UDP−グルクロン酸転移酵素の一種)により代謝を受け、胆汁中に排泄される。そのため、UGT1A1の遺伝子多型により下痢と骨髄抑制の発現に違いがあることを説明する必要がある。

4 誤
イリノテカンの活性代謝物であるSN-38が引き起こす下痢には、腸管粘膜障害性に起こる遅発性の下痢だけではなく、コリン作動性に起こる早発性の下痢もある。また、副作用の詳細については、イリノテカン投与前に説明しておく必要がある。

5 正
解説3参照。

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