令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 260,261

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問 260  正答率 : 72.4%
問 261  正答率 : 74.7%

 国家試験問題

国家試験問題
48歳男性。ぜん息の治療でシムビコートタービュヘイラー(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合)を使用している。人間ドックの眼圧検査により、高眼圧を指摘されたため、眼科を受診した。視力は右眼0.4、左眼0.5、眼圧は右29 mmHg、左25 mmHg、視神経乳頭陥凹が認められ、原発開放隅角緑内障と診断された。処方1で薬物療法を行い、1ヶ月後の検査で眼圧は両眼ともに22 mmHgに低下したが、効果不十分として処方2が追加された。

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問260(実務)
服薬指導時の薬剤師の説明内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 結膜嚢内に点眼する。
2 点眼後は瞬きしてよくなじませる。
3 夕に点眼する場合は処方1の薬剤から点眼し、1分後に処方2の薬剤を点眼する。
4 点眼後は一時的に目がかすむことがあるので、症状が回復するまで自動車の運転等はしない。
5 十分効果が得られない場合は、1回2滴まで点眼可能である。


問261(薬理)
処方2の追加でも効果不十分であったため、処方1及び処方2とは作用機序が異なる薬物を処方3として追加することとなった。追加する処方3の薬物の作用機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 アドレナリンβ2受容体を遮断して、房水の産生を抑制する。
2 プロスタノイドFP受容体を刺激して、ぶどう膜強膜からの房水流出を促進する。
3 炭酸脱水酵素を阻害して、房水の産生を抑制する。
4 Rhoキナーゼ(ROCK)を阻害して、シュレム管からの房水流出を促進する。
5 アドレナリンα2受容体を遮断して、ぶどう膜強膜からの房水流出を促進する。

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問 260    
問 261    

 e-REC解説

問260 解答 1、4

1 正
点眼剤を投与する際は、結膜嚢内に点眼する。

2 誤
点眼剤を点眼後に瞬きをすると、眼から薬が流れ出るため、点眼後瞬きをせず、しばらく眼を閉じる。

3 誤
点眼剤を併用する際は、水性点眼剤、懸濁性点眼剤の順に点眼し、5分以上の間隔をあけて点眼することで相互の影響はほとんどなくなると考えられている。よって、処方1の水性点眼剤のラタノプロスト点眼液を点眼後、5分以上の間隔を空けて、処方2の懸濁性点眼剤のブリンゾラミド懸濁性点眼液を点眼する。

4 正
ラタノプロスト点眼液、ブリンゾラミド懸濁性点眼液は共に、点眼後は一時的に眼がかすむことがあるので、症状が回復するまで自動車の運転等はしないように注意する。

5 誤
眼の結膜嚢に保持できる液量は20〜30μLであり、点眼1滴は30〜50μLであるため、1回投与量は1滴までである。


問261 解答 4

1 誤
チモロールなどの作用機序である。チモロールは、アドレナリンβ2受容体を遮断して房水の産生を抑制するため緑内障治療に用いられるが、本患者はぜん息治療中のため投与禁忌である。

2 誤
処方1のラタノプロストの作用機序である。

3 誤
処方2のブリンゾラミドの作用機序である。

4 正
リパスジルの作用機序である。リパスジルは、Rhoキナーゼ(ROCK)を阻害して、シュレム管からの房水流出を促進するため、本患者の緑内障治療に追加投与する薬物としては適切である。

5 誤
設問の作用機序を有する緑内障治療薬はないが、アドレナリンα2受容体を刺激して、ぶどう膜強膜からの房水流出を促進する薬物としてブリモニジンがある。

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