令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 304,305

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問 304  正答率 : 50.7%
問 305  正答率 : 63.7%

 国家試験問題

国家試験問題
薬剤師が病院薬剤部内の勉強会で、ナトリウム-グルコース共輪送体2(SGLT2)阻害薬Aの心保護作用について発表することになり、以下の文献を入手した。

動脈硬化性心疾患を有する、または、動脈硬化性心疾患リスクが高い2型糖尿病患者を対象に、「A投与群」、「A非投与群」の2群に無作為に割り付けし、心血管死または心不全による入院を主要評価項目として検討したところ、以下の結果を得た。

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問304(病態・薬物治療)
この解析に用いられた統計手法として、適切なのはどれか。1つ選べ。

1 t 検定
2 Mann−WhitneyのU検定
3 Kruskal−Wallis検定
4 Cox回帰分析
5 重回帰分析


問305(実務)
薬剤師が勉強会で説明する内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 主要評価項目は、代用エンドポイントを用いています。
2 ハザード比の95%信頼区間が1を含んでいないことから、両群間に統計学的に有意差が認められます。
3 相対リスク減少は83%です。
4 Aの投与は、2型糖尿病患者において主要評価項目のリスクを減少させるといえます。
5 Aの投与は、2型糖尿病患者において心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の心血管イベントの複合項目のリスクを減少させるといえます。

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問 304    
問 305    

 e-REC解説

問304 解答 4

1 誤
t 検定とは、2群の数値データ(ex血圧、血糖値など)の平均値に差があるかを検定する手法であり、本解析のように、ハザード比やその95%信頼区間を導くことは不可能である。

2 誤
Mann−WhitneyのU検定は、対応のない2群の順序データに差があるかを検定する手法であり、本解析のように、ハザード比やその95%信頼区間を導くことは不可能である。

3 誤
Kruskal−Wallis検定は、3群以上の順序データに差があるかを検定する手法であり、本解析のように、ハザード比やその95%信頼区間を導くことは不可能である。

4 正
Cox回帰分析では、時間に関する情報を考慮し、2群間の値の差の推定値をハザード比やその95%信頼区間を算出して評価する。

5 誤
重回帰分析は、複数の説明変数(数値データ)から、一つの目的変数(数値データ)を解析する手法であり、本解析のように、ハザード比やその95%信頼区間を導くことは不可能である。


問305 解答 2、4

1 誤
本解析での主要評価項目は「心血管死または心不全による入院」であり、真のエンドポイントを用いている。

2 正
本解析のハザード比は0.83であり、95%信頼区間が0.73〜0.95と1を含んでいないことから、A投与群はA非投与群に比べて、心血管死または心不全による入院のリスクを有意に低下させると判断できる。

3 誤
A投与群のA非投与群に対する、心血管死または心不全による入院のハザード比は0.83(83%)であり、相対リスク減少は1-0.83=0.17(17%)である。

4 正
解説2参照

5 誤
本解析の評価項目に「心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の心血管イベントの複合項目のリスク」はないため、A投与群はA非投与群に比べて心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の心血管イベントの複合項目のリスクを減少させるかどうかは判断できない。

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