令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 331

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問 331  正答率 : 55.2%

 国家試験問題

国家試験問題
63歳男性。体重58 kg。頻脈性不整脈を契機に発症したうっ血性心不全に対し、先月より開始した処方1に処方2が今回追加されることとなり、3日後と8日後の診察が予約された。処方2開始当日朝の検査値等は以下のとおりであった。

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(検査値及び所見)
血清中ピルシカイニド濃度0.5 µg/mL、
クレアチニンクリアランス90 mL/min、
K 4.0 mEq/L、血圧140/92 mmHg、心電図 異常なし

ピルシカイニド、ジゴキシンの有効血中濃度域は、それぞれ0.2〜0.9 µg/mL、0.5〜1.5 ng/mL、本患者における消失半減期はそれぞれ5時間、36時間とする。

以下の記述のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 ジゴキシン追加にあたり、患者の消化器症状に注意する。
2 3日後の診察時にジゴキシンの治療薬物モニタリング(TDM)を実施する。
3 スピロノラクトンが併用されているためジゴキシンの血中濃度上昇に注意を払う。
4 ピルシカイニドのTDMは月に1回程度とする。
5 血清カリウム濃度の上昇に注意する。

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問 331    

 e-REC解説

解答 2

1 適切
ジゴキシンの服用により、悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が現れる場合がある。したがって、ジゴキシン追加にあたり、患者の消化器症状に注意することは適切である。

2 不適切
治療薬物モニタリング(TDM)は、原則、服用開始後、定常状態に近づく消失半減期の4〜5倍時間経過したタイミングで実施する。本患者におけるジゴキシンの消失半減期は36時間(1.5日)であり、ジゴキシンの治療薬物モニタリング(TDM)は、服用開始後6日〜7.5日後〔1.5日×(4〜5倍)〕に実施する。したがって、3日後の診察時にジゴキシンの治療薬物モニタリング(TDM)を実施するのは不適切である。

3 適切
ジゴキシンは、スピロノラクトンの併用によりジゴキシンの腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇する場合がある。したがって、スピロノラクトンが併用されているためジゴキシンの血中濃度上昇に注意を払うことは適切である。

4 適切
ピルシカイニド、特定薬剤治療管理料1の算定対象となる不整脈用剤であり、TDMは月に1回程度とすることは適切である。

5 適切
処方2のスピロノラクトンは、カリウム保持性利尿薬であり、高カリウム血症を起こす場合がある。したがって、血清カリウム濃度の上昇に注意することは適切である。

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