令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 132

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問 132  正答率 : 54.4%

 国家試験問題

国家試験問題
化学物質の毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 硫化水素は、ミトコンドリアのシトクロムオキシダーゼの阻害により、細胞呼吸を抑制する。
2 DEHP[フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)]は、ヘム合成に関わる酵素を阻害することで、造血機能障害を生じる。
3 四塩化炭素は、シトクロムP450によって還元的に脱ハロゲン化されて、肝障害を引き起こす。
4 塩化ビニルモノマーは、アセチルコリンエステラーゼの阻害により、神経毒性を示す。
5 カルバリルは、アコニターゼの阻害により、呼吸器障害を生じる。

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問 132    

 e-REC解説

解答 1、3

1 正
硫化水素は、3価の鉄イオン(Fe3+)に強い親和性を示すため、ミトコンドリアのシトクロムcオキシダーゼのFe3+と結合することで酵素を阻害し、細胞呼吸を抑制する。

2 誤
無機鉛の毒性に関する記述である。DEHP[フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)]は、可塑剤などに用いられ、一般に人に対する毒性は低いとされているが、実験動物では生殖毒性などを引き起こすことが知られている。

3 正
四塩化炭素は、シトクロムP450によって還元的に脱ハロゲン化され、トリクロロメチルラジカルを生成することで、肝障害を引き起こす。

4 誤
有機リン系農薬やカルバメート系農薬の毒性に関する記述である。塩化ビニルモノマーは、シトクロムP450によりエポキシ化され、肝血管肉腫を引き起こすことが知られている。

5 誤
殺鼠剤であるモノフルオロ酢酸ナトリウムの毒性に関する記述である。カルバリルなどのカルバメート系農薬は、アセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害することで神経毒性を示す。

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