令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 204,205

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問 204  正答率 : 60.3%
問 205  正答率 : 60.2%

 国家試験問題

国家試験問題
67歳男性。開心術後に低心拍状態となり心原性ショックと診断された。本疾患の治療に当たりアドレナリン注射液及び電解質輸液(開始液)が、中心静脈ダブルルーメンカテーテルから図のように投与されている。看護師は医師よりオメプラゾールナトリウム注射液を1時間かけて投与するよう指示を受けたため、薬剤師に投与経路について確認した。

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問204(実務)
オメプラゾールナトリウム注射液の投与手順として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 Aからのラインを止め、Cから適量の生理食塩液でフラッシュした後、Cから投与する。
2 Aからのライン及びBからのラインを止め、Cから適量の生理食塩液でフラッシュした後、Cから投与する。
3 Aからのライン及びBからのラインを止め、Dから適量の生理食塩液でフラッシュした後、Dから投与する。
4 Bからのラインを止め、Dから適量の生理食塩液でフラッシュした後、Dから投与する。
5 フラッシュなしで直接Dから投与する。


問205(物理・化学・生物)
オメプラゾールは弱酸で、静脈血(pH7.4)中で次のように解離するものとする。

スクリーンショット 2023-07-18 14.46.08.png

静脈血中でのオメプラゾールの分子形とイオン形の存在比として正しいのはどれか。1つ選べ。
ただし、オメプラゾールのpKaを8.9、√10=3.2とする。また、オメプラゾールの投与により静脈血のpHは変化せず、血清タンパクとの相互作用、オメプラゾールの代謝及び温度の影響は考慮しないものとする。

スクリーンショット 2023-07-18 14.51.04.png

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問 204    
問 205    

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問204 解答 1

ダブルルーメンカテーテルは、カテーテルの内腔が2つに分かれているため、2剤を混合することなく投与することが可能である。
本問の場合、心原性ショックの患者に対して電解質輸液(開始液)(A)の投与及びアドレナリン注射液(B)の精密持続点滴が行われており、Bからのラインを止めてしまうと、アドレナリン注射液の投与が中止されることで心原性ショック増悪の可能性がある。また、Bからのラインは精密持続点滴が行われているため、Dから新たに薬剤を投与すると、ルート内のアドレナリン注射液が押し出され、想定以上の速度で投与されることで心房細動等の副作用につながる可能性がある。
従って、オメプラゾールナトリウム注射液は、Aからのラインを止め、Cから適量の生理食塩液でフラッシュした後、Cから投与する方法が適切である。
なお、酸性注射液であるアドレナリン注射液と塩基性注射剤であるオメプラゾールナトリウム注射液を同一ラインで混合すると、白濁等の配合変化を起こす可能性もあるため、投与経路を考える際には注意が必要である。


問205 解答 1

問題文より、オメプラゾールは弱酸である。弱酸性薬物の分子形、イオン形の割合は以下のHenderson−Hasselbalchの式を用いて求めることができる。
スクリーンショット 2023-07-18 14.54.28.png
静脈血のpH 7.4、オメプラゾールのpKa 8.9を①式に代入すると下記のようになる。
スクリーンショット 2023-07-18 14.55.13.png
よって、分子形:イオン形 = 32:1となる。

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