薬剤師国家試験 令和07年度 第110回 - 一般 実践問題 - 問 322,323
72歳男性。数年前よりA病院から処方1の薬剤が処方されていた。さらに、2週間前から処方2が開始された。本日、男性はかかりつけ薬局に電話し、3日前から腹部の不快感を感じているが治らないと訴えた。薬剤師は、男性よりここ数週間は食生活に大きな変化がないことを聴取した。また、処方1の薬剤が多く残っており、夕食後は飲み忘れてしまうことも分かった。対応については、折り返し電話する旨を伝えた。薬剤師は、この薬局で実務実習中の薬学部学生に、練習として電話で伝える指導内容案とA病院への服薬情報提供書案の作成を指示した。また、処方1と処方2の薬剤の注意事項等情報(添付文書)を確認したところ、処方2の薬剤の副作用欄に「腹部不快感 0.5〜2%未満」と記載されていた。
なお、この薬局は地域連携薬局の認定を有していることを薬局内に掲示している。その他の薬局の認定は受けていない。

問322(実務)
指導薬剤師は、実務実習生の指導内容案と服薬情報提供書案を確認した。適切なのはどれか。2つ選べ。
1 指導内容案:処方2の薬剤の服用を直ちに中止すること
2 指導内容案:残薬は薬局で対応できないので医師に相談すること
3 情報提供書案:処方1の薬剤について1日1回朝食後に変更の提案をすること
4 情報提供書案:処方1の薬剤の副作用発現の可能性が高いこと
5 情報提供書案:処方2の薬剤の副作用発現の可能性が高いこと
問323(法規・制度・倫理)
薬剤師は、実務実習生に、この薬局が提示している認定に関する条件や特徴について質問した。学生の回答のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 患者さんのご自宅での訪問指導に関する薬局の実績の有無に関わらず、訪問指導の依頼にすぐに対応できる体制を整えている必要があります。
2 現在の薬局の所在地で、10年以上営業を続けている必要があります。
3 オンライン服薬指導に対応できる体制を整えている必要があります。
4 地域包括ケアシステムに関する研修を修了した薬剤師が常勤している必要があります。
5 患者さんが入退院した時は、医療機関と連携して服薬情報などをやり取りできる体制を整えている必要があります。
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問322 解答 3、5
本患者は、処方2追加後、食生活に大きな変化がないのに腹部不快感が治らないこと、処方1の薬剤が多く残っており夕食後は飲み忘れてしまうことを訴えている。
1 誤
処方2を直ちに中止する必要はないため、不適切な記述である。
2 誤
薬局の薬剤師は、患者の残薬数を把握し、医師へ処方日数を減らすことを提案することができる。そのため、残薬は薬局で対応できないという記述は不適切である。
3 正
処方1の薬剤について、夕食後は飲み忘れてしまうことから、1日1回朝食後に変更の提案をすることは適切である。
4 誤
処方1の薬剤の副作用発現の可能性は低いため、情報提供書案としては不適切である。
5 正
処方2の薬剤の副作用欄に「腹部不快感 0.5〜2%未満」と記載されており、処方2の薬剤の副作用発現の可能性が高いため、情報提供書案として適切である。
問323 解答 4、5
薬局は、以下の要件に該当するとき、その所在地の都道府県知事の認定を受けて地域連携薬局と称することができる。
<地域連携薬局の基準>
・利用者に配慮した設備を有すること
・過去1年間において、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、地域包括ケアシステムの構築に資する会議等に継続的に参加していること
・当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について、地域における医療機関に勤務する薬剤師その他の医療関係者に対して随時報告及び連絡することができる体制を備えていること(選択肢5)
・当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について、地域における他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制を備えていること
・開店時間外であっても、利用者からの薬剤及び医薬品に関する相談に対応する体制を備えていること
・休日及び夜間であっても、調剤の求めがあった場合には、地域における他の薬局と連携して対応する体制を備えていること
・無菌製剤処理を実施できる体制を備えていること
・薬局開設者が、医療安全対策に係る事業に参加することその他の医療安全対策を講じていること
・当該薬局に常勤として勤務している薬剤師の半数以上が、当該薬局に継続して1年以上常勤として勤務している者であること
・当該薬局に常勤として勤務している薬剤師の半数以上が、地域包括ケアシステムに関する研修を修了した者であること(選択肢4)
・当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、過去1年間において、地域における他の医療提供施設に対し、医薬品の適正使用に関する情報を提供していること
・居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導について、過去1年間において月平均2回以上実施した実績があること など
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