薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 理論問題 - 問 157
心疾患治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ブクラデシンは、細胞膜通過後、サイクリックAMPとなり、心筋の収縮力を増強する。
2 ジピリダモールは、ATP感受性K+チャネルの開口により抗狭心症作用を示す。
3 マニジピンは、心筋細胞のT型Ca2+チャネルを選択的に遮断する。
4 プロプラノロールは、冠動脈れん縮を抑制して、心筋への酸素供給を増大させる。
5 カルペリチドは、膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化し、利尿作用を示す。
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解答 1、5
1 正
ブクラデシンは、細胞膜を透過できるように改良したサイクリックAMP(cAMP)製剤であり、ブクラデシン自身が細胞膜透過後cAMPに変換されるとともに、cAMPの分解酵素であるホスホジエステラーゼ(PDE)を阻害することにより、細胞内cAMPの分解を抑制することで細胞内cAMP量を増加させる。細胞内cAMP量を増加させることで、心筋収縮力増強作用や血管拡張作用を示す。
2 誤
ジピリダモールは、アデノシン増強薬であり、血中アデノシンの赤血球や血管壁などの細胞内への取り込みを抑制することで、血中アデノシン濃度を上昇させ、血管拡張作用や血小板凝集抑制作用などを示す。なお、ATP感受性K+チャネルの開口により抗狭心症作用を示すのは、ニトログリセリンなどの硝酸薬である。
3 誤
マニジピンは、ジヒドロピリジン系Ca2+チャネル遮断薬であり、血管平滑筋細胞のL型膜電位依存性Ca2+チャネルを遮断することで、血管を拡張し血圧を低下させる。
4 誤
プロプラノロールは、アドレナリンβ受容体遮断薬であり、β1受容体遮断作用を介して心仕事量を抑制し、心筋の酸素消費量を低下させるため労作性狭心症の治療に用いられる。一方で、β2受容体遮断作用を介して、冠血管を収縮させるため、安静時狭心症を悪化させるおそれがある。
5 正
カルペリチドは、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)であり、ANP受容体を刺激することで受容体内の膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化し、細胞内cGMP量を増加させることで、血管拡張作用及び利尿作用を示す。
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