薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 理論問題 - 問 166
薬物の吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 口腔粘膜から吸収される薬物は、肝初回通過効果を回避できるが、小腸と比較して口腔の粘膜が非常に厚いため、速やかな吸収が期待できない。
2 肺からの薬物吸収は、一般に、Ⅰ型肺胞上皮細胞を介した単純拡散によるものである。
3 皮膚の角質層の厚さには部位差があることから、薬物の経皮吸収も部位により大きく異なることがある。
4 鼻粘膜は、主に吸収を担う多列繊毛上皮細胞が密に接着していることから、バリアー機能が高く、一般に薬物吸収は不良である。
5 坐剤の適用は、即効性は期待できるものの、経口投与時と同程度に肝初回通過効果を受ける。
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解答 2、3
1 誤
口腔粘膜から吸収される薬物は、肝臓を通過することなく、直接循環血中に移行するため、肝初回通過効果を回避することができる。また、小腸と比較して口腔粘膜は薄いため、口腔粘膜から吸収される薬物は、速やかに循環血中に移行する。
2 正
肺からの薬物吸収は、一般に、Ⅰ型肺胞上皮細胞を介した単純拡散によるものである。なお、肺胞上皮細胞には、Ⅰ型とⅡ型があり、Ⅰ型肺胞上皮細胞は、極めて薄い膜状の単層扁平な細胞で、ガス交換に関与しており、Ⅱ型肺胞上皮細胞は、立方体の大型な細胞で、肺サーファクタントの分泌に関与している。
3 正
角質層は、皮膚の最も外側に存在しており、体内への異物の侵入などを妨げるバリアーとして機能している。皮膚の角質層の厚さには部位差があることから、薬物の経皮吸収も部位により大きく異なることがある。
4 誤
鼻粘膜は、鼻前庭、呼吸部、臭部からなり、鼻粘膜に投与した薬物は、呼吸部粘膜より吸収される。呼吸部粘膜を形成する細胞は、密に接着しているが、薄くバリアー能が低いため、一般に鼻粘膜を介した薬物の吸収は良好である。
5 誤
坐剤により投与された薬物は、主に直腸下部より吸収される。直腸下部より吸収された薬物は、肝臓を通過することなく、直接循環血中に移行するため、肝初回通過効果を回避することができ、速やかに効果を発揮することができる。
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