薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 理論問題 - 問 185
60歳男性、身長172 cm、体重72 kg。10年前に2型糖尿病と診断され、経口血糖降下薬を内服していた。血圧136/86 mmHg、脈拍70/分。血清カリウム値4.2 mEq/L、血清クレアチニン値0.7 mg/dL、空腹時血糖値126 mg/dL、HbA1c 7.4%(JDS)、血清総タンパク7.4 g/dL、血清アルブミン4.0 g/dL。
尿中アルブミン値(クレアチニン補正)1回目 120 mg/g、2回目 80 mg/g(基準値30 mg/g未満)。
この症例に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 糖尿病の治療を行っても、腎機能の障害は改善しない。
2 降圧目標は140/90 mmHgであり、本症例では達成されている。
3 尿細管障害がアルブミン尿の原因である。
4 タンパク尿のため、浮腫が出現している。
5 レニン-アンギオテンシン系の活性を低下させることにより、腎障害の進行を抑制できる。
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解答 5
本症例では、空腹時血糖値126 mg/dL(基準値:70〜109 mg/dL)、HbA1c 7.4%(基準値:4.3〜5.8%)であり、基準値をこえていることから、血糖コントロールが不良であると考えられる。また、尿中アルブミン値が高値を示していることから、糖尿病性腎症を合併していると考えられる。
1 誤
本患者にみられる腎機能障害は、糖尿病による早期の腎症と考えられるため、糖尿病の治療を行うと、腎機能障害が改善できると推察される。
2 誤
糖尿病合併高血圧の降圧目標は、130/80 mmHgとされている。そのため、本症例では、降圧目標を達成されていない。
3 誤
糖尿病患者におけるアルブミン尿の原因は、長期の高血糖の維持に伴う細小血管障害の1つの糸球体病変であると考えられている。
4 誤
本患者において、尿中アルブミン量は、高値を示しているが、血清総タンパク7.4 g/dL(基準値:6.5〜8.0 g/dL)、血清アルブミン4.0 g/dL(基準値:3.7〜4.9 g/dL)は、基準値範囲内にあることから、浮腫が出現しているとは考えにくい。
5 正
レニン-アンギオテンシン系の活性を低下させることにより、腎の輸出細動脈の収縮による糸球体内圧の上昇、糸球体メサンギウム細胞の増殖を抑制することができるため、腎障害の進行を抑制することができる。
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