薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 250,251
66歳男性。パーキンソン病と診断され、以下の薬剤で治療してきたが、最近、薬の効果持続時間が短縮してきた。
問250(実務)
この患者の薬物治療の対応策として、ふさわしくないのはどれか。1つ選べ。
1 レボドパ100 mg・カルビドパ配合錠を増量する。
2 プラミペキソール塩酸塩水和物徐放錠を追加する。
3 エンタカポン錠を追加する。
4 セレギリン塩酸塩錠を追加する。
5 チアプリド塩酸塩錠を追加する。
問251(薬理)
処方薬および前問中の薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 カルビドパは、末梢性芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害薬で、レボドパが末梢でドパミンに変換されるのを抑制する。
2 プラミペキソールは、ドパミン神経からのドパミン遊離を促進する。
3 エンタカポンは、ドパミンD2受容体を刺激する。
4 セレギリンは、モノアミン酸化酵素Bを阻害することによりドパミンの代謝を抑制する。
5 チアプリドは、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼを阻害する。
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問250 解答 5
設問に「薬の効果持続時間が短縮してきた」とあることから、Wearing off現象※が現れてきていると考えられる。
Wearing offの治療法には、以下の①〜③の方法が有効とされている。
①レボドパの服用量や服用回数を調節する。(レボドパは、1日1500 mgまで増量可能)
②COMT阻害薬(エンタカポン)をレボドパと併用し、血中のレボドパの濃度を持続させ、効果を長続きさせる。
③ドパミンアゴニスト(プラミペキソールなど)やMAOB阻害薬(セレギリン)などの併用や増量により、レボドパの効果を増強させる。
Wearing off現象※:レボドパの長期投与により、レボドパの効果持続時間が短縮する現象
1〜4 ふさわしい
5 ふさわしくない
チアプリド塩酸塩錠は、中枢のドパミンD2受容体遮断薬であり、脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善などに用いられる。なお、チアプリド塩酸塩錠は、副作用として、パーキンソン症候群が現れることがあるため、本患者に投与するとWearing off現象を悪化させる可能性がある。
問251 解答 1、4
1 正
カルビドパは、末梢性芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼを阻害し、レボドパからドパミンへの変換を阻害することで、レボドパの中枢移行性を増加させる。
2 誤
プラミペキソールは、非麦角系ドパミンD2受容体刺激薬であり、ドパミンD2受容体を刺激することで、パーキンソン症状を改善する。
3 誤
エンタカポンは、末梢性カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害し、レボドパの末梢での代謝を阻害することで、レボドパの中枢移行性を増加させる。
4 正
セレギリンは、モノアミン酸化酵素B(MAOB)を阻害し、シナプス間のドパミンの作用を増強する。
5 誤
チアプリド塩酸塩錠は、中枢のドパミンD2受容体遮断薬であり、パーキンソン病の治療には用いられない。
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