薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 252,253
28歳女性。統合失調症と診断され、今回、初めて以下の薬剤が処方された。
問252(薬理)
処方された薬物に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
1 γ−アミノ酪酸GABAA受容体の働きを高め、睡眠を誘発する。
2 ドパミンD2受容体を刺激し、運動機能の低下をもたらすことがある。
3 セロトニン5-HT2受容体を遮断し、統合失調症の陰性症状を改善する。
4 モノアミン酸化酵素Bを阻害し、下垂体からのプロラクチン遊離を促進する。
5 セロトニン5-HT1A受容体を遮断して、抗不安作用を示す。
問253(実務)
この患者への服薬指導および処方薬に関する説明の内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 月経不順となることがあります。
2 口渇が現れることがあります。
3 服用中は自動車の運転など危険を伴う作業をしないようにしてください。
4 リスペリドン口腔内崩壊錠は、通常、徐々に減量する薬剤です。
5 ブロチゾラム口腔内崩壊錠は、服用後に一時的な記憶の抜け落ちを起こすことのある薬剤です。
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問252 解答 1、3
本患者に処方された①リスペリドンと②ブロチゾラムについて以下にまとめる。
①リスペリドン
セロトニン・ドパミン受容体遮断薬(SDA)であり、セロトニン5-HT2受容体を遮断により統合失調症の陰性症状を改善し、D2受容体遮断作用により統合失調症の陽性症状を改善する。
②ブロチゾラム
短時間型のチエノジアゼピン系誘導体であり、GABAA受容体に存在するベンゾジアゼピン結合部位に結合し、GABAA受容体の働きを高め、睡眠を誘発する。
問253 解答 4
1 適切
リスペリドン口腔内崩壊錠は、副作用として、月経障害、無月経、不規則月経などを起こすことがあるため、本患者に対して、「月経不順となることがあります。」と説明することは適切である。
2 適切
リスペリドン口腔内崩壊錠及びブロチゾラム口腔内崩壊錠は、副作用として口渇を起こすことがあるため、本患者に対して、「口渇が現れることがあります。」と説明することは適切である。
3 適切
リスペリドン口腔内崩壊錠の添付文書の重要な基本的注意に「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」と記載されており、また、ブロチゾラム口腔内崩壊錠の添付文書の重要な基本的注意に「本剤の影響が翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」と記載されている。そのため、「服用中は自動車の運転など危険を伴う作業をしないようにしてください。」と説明することは適切である。
4 不適切
リスペリドン口腔内崩壊錠の用法・用量は、「通常、成人には1回1 mg 1日2回より始め、徐々に増量する。維持量は通常1日2~6 mgを原則として1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は12 mgをこえないこと。」となっていることから、本患者に対して「リスペリドン口腔内崩壊錠は、通常、徐々に増量する薬剤です。」と説明する必要がある。
5 適切
ブロチゾラム口腔内崩壊錠は重大な副作用として、一過性前向性健忘、もうろう状態を起こすことがあるため、本患者に対して「ブロチゾラム口腔内崩壊錠は、服用後に一時的な記憶の抜け落ちを起こすことのある薬剤です。」と説明することは適切である。
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