薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 274,275
院内のレジメンを管理する委員会において、制吐薬として用いる薬物について薬剤師が説明した。「この薬物は、5−HT3受容体拮抗薬です。他の5−HT3受容体拮抗薬に比べて消失半減期が約42時間と長く、そのため遅発期の悪心・嘔吐にも効果があります。」
問274(実務)
薬剤師が説明した薬物はどれか。1つ選べ。
1 アザセトロン塩酸塩
2 オンダンセトロン塩酸塩水和物
3 グラニセトロン塩酸塩
4 トロピセトロン塩酸塩
5 パロノセトロン塩酸塩
問275(薬剤)
この薬物0.75 mgを急速静脈内投与するとき、7日後の血中濃度に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、この薬物の体内動態は線形1−コンパートメントモデルに従うものとし、分布容積は750 Lとする。
1 0.25 µg/mL
2 0.125 µg/mL
3 0.0625 µg/mL
4 0.25 ng/mL
5 0.125 ng/mL
6 0.0625 ng/mL
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問274 解答 5
本設問では、「この薬物は、5−HT3受容体拮抗薬です。他の5−HT3受容体拮抗薬に比べて消失半減期が約42時間と長く、そのため遅発期の悪心・嘔吐にも効果があります。」と薬剤師が説明していることから、選択肢より、消失半減期が42時間と長く、遅発期の悪心・嘔吐(抗悪性腫瘍薬投与後24時間以降に起こり数日間継続する悪心・嘔吐)に適用される5−HT3受容体拮抗薬を選ぶ必要がある。
選択肢の薬物は、すべて5−HT3受容体拮抗薬であり、その中でも消失半減期が42時間と長く、遅発期の悪心・嘔吐に効果がある薬物は、パロノセトロン塩酸塩である。
なお、アザセトロン塩酸塩、オンダンセトロン塩酸塩水和物、グラニセトロン塩酸塩、トロピセトロン塩酸塩は、急性期の悪心・嘔吐(抗悪性腫瘍薬投与後24時間以内に起こる悪心・嘔吐)には適用されるが、遅発期の悪心・嘔吐には適用されない。
問275 解答 6
問題文に「この薬物の体内動態は線形1−コンパートメントモデルに従う」と記載されていることから、1次反応に従って薬物が消失すると考える。
この薬物を0.75 mg急速静脈内投与したときの初期の血中濃度C0を以下のように計算することができる。
7日後(24時間×7日=168時間後)の血中濃度Cは、半減期4回(168時間÷42時間=4)経過した時の血中濃度であるため、以下のように計算することができる。
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