薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 276,277
65歳男性。変形性関節症の治療中であり、以下の薬剤が処方された。
問276(実務)
本テープ剤の使用に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 原因療法ではなく、対症療法である。
2 アスピリン喘息の患者に対しては禁忌である。
3 光線過敏症の既往歴を持つ患者に対しては禁忌である。
4 湿疹または発疹の部位には使用しない。
5 胃不快感などの消化器症状が現れることがある。
問277(薬剤)
本テープ剤に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 室温で保存する。
2 製剤均一性試験法の適用を受ける。
3 溶出試験法の適用外である。
4 膏体は支持体に展延されている。
5 水を含む基剤を用いた貼付剤である。
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問276 解答 3
1 正しい
本テープ剤は、変形性関節症の疼痛緩和の目的で用いているので対症療法となる。なお、本テープ剤の使用により変形性関節症の原因を改善することはできない。
2 正しい
本剤に含まれるロキソプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)である。NSAIDsはシクロオキシゲナーゼを阻害することで、プロスタグランジンの生合成を阻害するが、リポキシゲナーゼ経路活性化によりロイコトリエン産生を亢進し、気管支を収縮させることがある。前記より、ロキソプロフェンを含有する本剤の使用により発作を引き起こすことがあり、これをアスピリン喘息という。このことからNSAIDsは、アスピリン喘息の患者には禁忌である。
3 誤っている
NSAIDsの中に光線過敏症を引き起こすものがあるが、ロキソプロフェンは光線過敏症をおこしにくい薬剤と考えられている。そのため、本剤は光線過敏症の既往歴を持つ患者に対して禁忌ではない。
4 正しい
本剤を損傷皮膚や粘膜にテープ剤を使用すると、皮膚刺激を生じやすい。また、本剤を湿疹や発疹部位に使用した場合、症状が悪化する可能性があるため、湿疹または発疹の部位には使用しない。
5 正しい
ロキソプロフェンなどのNSAIDsを投与することで、プロスタグランジンの生合成が阻害される。プロスタグランジンは胃粘膜保護作用を持つので、本剤使用によりプロスタグランジンの量が減少した結果、胃腸障害がおこることがある。胃不快感などの消化器症状につながるおそれがある。
問277 解答 5
1 正しい
ロキソプロフェンNaテープは、室温保存と規定されている。
2 正しい
貼付剤のうち経皮吸収型製剤は、製剤均一性試験法の適用を受ける。
3 正しい
溶出試験法は経口投与製剤に規定されている試験法であり、皮膚に適用する製剤である貼付剤には規定されていない。
4 正しい
貼付剤は、有効成分を膏体に混和し、支持体またはライナー(剥離体)に展延した製剤である。
5 誤っている
貼付剤にはテープ剤とパップ剤がある。テープ剤は、ほとんど水を含まない基剤を用いた製剤であり、パップ剤は、水を含む基剤を用いた製剤である。本剤はテープ剤であるため、ほとんど水を含まない基剤を用いている。
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