薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 280,281
70歳男性。同居している家族がインフルエンザを発症したので、予防のために近医を受診したところ以下の処方が出された。
問280(実務)
本吸入剤の予防投与に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ザナミビル水和物の用法・用量は、治療に用いる場合と異なる。
2 感染者と接触後3日目に投与を開始する。
3 投与後異常行動の発現のおそれはない。
4 A型およびB型インフルエンザの予防に効果がある。
5 ザナミビル水和物の予防効果は吸入中止後も長期に持続する。
問281(薬剤)
本吸入剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 添加されている乳糖粒子は、薬物粒子同士の過度な凝集を抑える働きがある。
2 薬物粒子は、吸入時に効率よく気道に到達する空気力学径である20 µm前後の粒子径に設計されている。
3 薬物粒子が吸湿すると流動性が低下するため、防湿性の包装が施されている。
4 吸入時に、薬物粒子が二次粒子を形成するように設計されている。
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問280 解答 1、4
1 正
ザナミビル水和物は予防と治療に用いる場合では用法・用量は異なる。治療に用いる場合は、1回2ブリスターを1日2回、5日間吸入する。
2 誤
本剤をインフルエンザの予防に用いる際は、感染者と接触後1.5日以内に投与を開始する。
3 誤
本剤投与後に、異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。
4 正
本剤は、ノイラミニダーゼを阻害することにより効果を発揮する。そのため、ノイラミニダーゼが発現しているA型及びB型インフルエンザウイルスに効果がある。
5 誤
本剤投与による予防効果は、連続して投与している期間のみ持続する。吸入中止後も長期に持続するわけではない。
問281 解答 1、3
1 正
ザナミビルの粒子径は、5 µm以下のものが多い。粒子径が小さいものは付着凝集性が高く、そのままの状態だと薬物粒子同士が凝集してしまう。それを防ぐために、薬物粒子に数十µm程度の乳糖を付着させて二次粒子の状態にする。粒子径が増大することで付着凝集性が低下し、薬物粒子同士の過度な凝集を抑えることができる。
2 誤
本剤は気道中に薬剤が到達し効果を発揮する。気道に薬剤を到達させるためには、一般に粒子径が1〜5 µmのものが良いとされている。粒子径が20 µm前後のものは、主に口腔や咽頭に付着するため、本剤の目的部位である気道まで到達する薬剤量が少なくなる。
3 正
吸湿による流動性の低下を防止するために、防湿性の包装が施される。本剤の場合は、両面アルミニウムのブリスター包装が施されている。
4 誤
本剤は、吸入デバイスに薬剤を充てんした段階では、薬物粒子に乳糖を付着させた状態(二次粒子)となっているが、吸入する際に乳糖が離れるように設計されており、吸入時は薬剤粒子のみ(一次粒子)の状態になっている。
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