薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 288,289
66歳男性。高血圧、心房細動とアレルギー性鼻炎のため、内科から下記の薬剤が処方されていた。最近、歩行すると足が痛くなるようになったため、外科を受診したところ、下肢静脈瘤と診断され、1ヶ月後に手術を行うことになった。
問288(実務)
外科の担当医より、手術前のワルファリンの休薬期間とその代替薬について外科病棟担当薬剤師に質問があった。以下の組合せのうち、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
術前休薬期間 代替薬
1 24時間 ヘパリン
2 24時間 シロスタゾール
3 4日 ヘパリン
4 4日 シロスタゾール
5 14日 ヘパリン
6 14日 シロスタゾール
問289(病態・薬物治療)
上記の処方薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ジソピラミドリン酸塩徐放錠は、不応期を短縮させ房室ブロックに用いる。
2 ワルファリンカリウム錠は、血栓形成を抑制し、脳梗塞の発症を予防する。
3 ランソプラゾール口腔内崩壊錠は、併用薬の酸化的分解の抑制のため用いる。
4 ニフェジピン徐放錠は、労作時狭心症発作時の治療に用いる。
5 レボセチリジン塩酸塩錠は、鼻汁分泌を抑制し、アレルギー性鼻炎に用いる。
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問288 解答 3
ワルファリンは、抗凝固薬であり、手術時に服用していると手術に伴う出血を増強してしまうおそれがあるため、その作用時間が48時間〜72時間であることを考慮して、手術を行う3〜5日前に投与を中止することが望ましい。
設問に挙げられている代替薬としては、ヘパリンがワルファリン同様抗凝血薬であり、作用時間が短く手術の数時間前まで使用が可能であるため、代替薬としては適切である。なお、シロスタゾールは血小板凝集抑制薬であり、服薬中止後も作用が約48時間程度持続するため、代替薬としては不適切である。
問289 解答 2、5
1 誤
ジソピラミドリン酸塩徐放錠は、Ⅰa群抗不整脈薬であり、Na+チャネルを遮断するほか、K+チャネルを遮断する作用も有し、不応期を延長させるため、心房細動などの頻脈性不整脈に用いられる。しかし本剤は、徐脈は悪化させるおそれがあるため、高度の房室ブロック及び洞房ブロックのある患者への投与は禁忌である。
2 正
ワルファリンカリウム錠は、抗凝固薬であり、肝臓でビタミンKと拮抗しプロトロンビンなどの血液凝固因子の生合成を抑制することで、血栓形成を予防する。心房細動患者では血栓ができやすく、脳梗塞などを引き起こす恐れがあるため、その予防目的でワルファリンが処方されていると考えられる。
3 誤
ランソプラゾール口腔内崩壊錠は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)であり、胃酸分泌を強力に抑制することで、ワルファリンの副作用で生じる上部消化管出血を予防する目的で処方されていると考えられる。
4 誤
ニフェジピン徐放錠は、血管平滑筋のL型膜電位依存性Ca2+チャネルを遮断することで血管を拡張させ、降圧作用を示すため、高血圧症に対して処方されていると考えられる。
5 正
レボセチリジン塩酸塩錠は、第二世代抗ヒスタミン薬であり、ヒスタミンH1受容体を遮断するとともにケミカルメディエーターの遊離を抑制し、ヒスタミンによる鼻汁分泌を抑制するため、本患者のアレルギー性鼻炎に対して処方されていると考えられる。
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