薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 実践問題 - 問 292,293
2歳女児。体重10 kg。1日数回の全身強直間代性けいれんを発現し、ミオクローヌスてんかんと診断され、バルプロ酸ナトリウムシロップの投与が開始された。投与開始3ヶ月頃、呼びかけに反応しないなどの意識障害が頻回に見られたため入院加療となり、バルプロ酸の血漿中トラフ濃度と血漿アンモニア窒素値が測定された。
問292(実務)
バルプロ酸の血漿中トラフ濃度は60 µg/mLであった。測定結果の判断として、適切なのはどれか。1つ選べ。
1 有効安全濃度域下限の約1/10であった。
2 有効安全濃度域下限の約1/5であった。
3 有効安全濃度域内にある。
4 有効安全濃度域上限の約5倍であった。
5 有効安全濃度域上限の約10倍であった。
問293(病態・薬物治療)
この患者の血漿アンモニア窒素値は、180 µg/dL(正常値12〜66 µg/dL)であった。この原因として、最も可能性が高いのはどれか。1つ選べ。
1 ミオクローヌス発作にともなう筋障害
2 ミオクローヌス発作にともなう低酸素血症
3 ミオクローヌス発作にともなう腎血流の低下
4 バルプロ酸による肝実質細胞の障害
5 バルプロ酸による尿素サイクルの阻害
6 バルプロ酸による腸内のウレアーゼの阻害
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問292 解答 3
バルプロ酸の有効安全濃度域は、50〜100 µg/mLであり、本患者の測定値は60 µg/mLであるため、有効安全濃度域にあると判断できる。
問293 解答 5
バルプロ酸は、アンモニアを尿素に変換する経路である尿素サイクルを阻害する作用を有し、その結果、本症例では血漿アンモニア窒素値が高値を示していると考えられる。
体内のアンモニアは通常、尿素サイクルで尿素に変換されるが、バルプロ酸やその代謝物は、その際の律速酵素であるカルバモイルリン酸シンターゼⅠを阻害し、アンモニア代謝を抑制することで高アンモニア血症を引き起こす。
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