薬剤師国家試験 平成27年度 第100回 - 一般 理論問題 - 問 94
タンパク質の構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 円二色性スペクトル法により、タンパク質の一次構造を決定することができる。
2 αヘリックスやβシートは、タンパク質中に見られる二次構造である。
3 基質が酵素分子に結合する際に生じる誘導適合(induced fit)とは、酵素分子を堅固な剛体として仮定したときに生じる変化をいう。
4 酵素の等電点とは、その酵素の至適pHのことである。
5 ヘモグロビンと酸素との結合は、協同性を示し、この協同現象は、ヘモグロビンの四次構造変化により説明される。
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解答 2、5
1 誤
円二色性スペクトルからはタンパク質の二次・三次構造情報が得られる。なお、タンパク質の一次構造は特異的なCDスペクトルを与えないことから、CDスペクトルからタンパク質の一次構造情報を得ることはできない。
2 正
αヘリックスやβシートは、ペプチド結合C=Oの酸素とN−H水素間に形成される水素結合でつくられるタンパク質の二次構造である。なお、一次構造とは、一般に、タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序のことであり、三次構造とは、二次構造を保持したポリペプチド鎖が、さらにアミノ酸残基の側鎖間で、ファンデルワールス相互作用、水素結合、疎水性相互作用、静電的相互作用、共有結合などで結合することにより形成される立体構造のことである。
3 誤
誘導適合(induced fit)とは、基質(リガンド)が酵素分子に結合すると、酵素分子自身が変化し、触媒機能を発現しやすいように構造(コンフォメーション)が変化することである。
よって、誘導適合とは、酵素分子が柔軟に構造(コンフォメーション)の変化を起こすことができると仮定したときに生じる変化をいう。
4 誤
等電点とは、溶媒液中において両性電解質の電荷が0になるときのpHであり、至適pHとは異なる。なお、至適pHとは、酵素に最高の活性を与えるときのpHのことである。
5 正
ヘモグロビンは、血液中に分布し酸素の運搬に関わるヘムタンパク質であり、三次構造をもつ4つのサブユニットが集合した四次構造を形成している。ヘモグロビンは、酸素分圧の上昇により、その四次構造が変化し、酸素との親和性が増加する。この現象を協同現象といい、この協同現象により体内での酸素の運搬が調整されている。
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