薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 164
β-ラクタム系抗菌薬の耐性発現及び副作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 β-ラクタム環を開裂するセファロスポリナーゼを産生する細菌は、セファレキシンに対する耐性を示す。
2 スルバクタムは、緑膿菌に対して強い抗菌活性を示すが、セファロスポリナーゼによって容易に分解される。
3 セフォタキシムは、セファロスポリナーゼを不可逆的に阻害し、β-ラクタム系抗菌薬の治療効果を高める。
4 メロペネムは、腎尿細管に存在するデヒドロペプチダーゼⅠにより分解され、その分解物が腎毒性を引き起こす。
5 セフメタゾールは、ジスルフィラム様作用を有するので、投与期間中に飲酒すると血中アセトアルデヒド濃度が上昇しやすくなる。
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解答 1、5
1 正
セファレキシンは、第一世代セフェム系抗生物質であり、セファロスポリナーゼ産生菌によりβ−ラクタム環が開裂される。そのため、セファロスポリナーゼ産生菌は、セファレキシンに対して耐性を示す。
2 誤
スルバクタムは、β−ラクタマーゼ阻害薬であり、セファロスポリナーゼなどのβ−ラクタマーゼを阻害するため、β−ラクタム系抗生物質と併用される。スルバクタム自身には抗菌活性はない。
3 誤
スルバクタムなどのβ−ラクタマーゼ阻害薬に関する記述である。セフォタキシムは、第三世代のセフェム系抗生物質であり、セファロスポリナーゼによって分解されにくく、幅広い抗菌活性を示す。
4 誤
イミペネムに関する記述である。イミペネムは、腎尿細管に存在するデヒドロペプチダーゼⅠ(DHP−Ⅰ)により分解された分解物が腎毒性を示すため、DHP−Ⅰ阻害薬であるシラスタチンとの合剤で使用される。メロペネムはイミペネムとは異なり、DHP−Ⅰにより分解されにくいため、単剤で使用される。
5 正
セフメタゾールは、ジスルフィラムと同様、アルデヒド脱水素酵素阻害作用(ジスルフィラム様作用)を示すため、アルコールの代謝が抑制され飲酒時に血中アセトアルデヒド濃度が上昇しやすくなるため注意が必要である。
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