薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 180
EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果の説明として、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 腫瘍組織で活性の高い酵素によって薬物が代謝活性化を受け、腫瘍組織特異的に効果が発現する。
2 腫瘍組織特異的なトランスポーターの利用により、薬物の腫瘍組織への移行性と滞留性が向上する。
3 薬物を含む微粒子がマクロファージに貪食され、薬物が長時間血液中に滞留する。
4 アンギオテンシンⅡの併用投与により、腫瘍組織の血管透過性が選択的に上昇し、薬物の移行性が向上する。
5 腫瘍組織では、通常組織と比較して毛細血管の透過性が亢進し、リンパ管が未発達なので、薬物を含む微粒子の腫瘍組織への移行性と滞留性が向上する。
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解答 5
通常組織に分布する血管(正常血管)に比べ、腫瘍組織に分布する血管(新生血管)の透過性が高く、薬物が漏出しやすく腫瘍組織に運搬されやすくなる。また、腫瘍組織はリンパ管が未発達であるため、腫瘍組織に到達した薬物はリンパによる回収を受けにくく腫瘍組織に滞留しやすくなる。これをEPR(Enhanced Permeability and Retention)効果という。
1 誤
プロドラッグによるターゲティングの記述である。プロドラッグは代謝活性化を受けることで、初めて薬効を示す薬物のことである。腫瘍特異的に発現している酵素で代謝活性化をうけるように薬物を設計することでターゲティングを達成することができる。
2 誤
腫瘍組織は急速な増殖を維持するために、通常の組織以上に栄養を取り入れる必要がある。そのために特異的なトランスポーター(担体)が発現しており、特にアミノ酸トランスポーター(LAT1)はその代表例として知られている。
3 誤
リピッドマイクロスフェアやリポソームに関する記述である。
4 誤
アンギオテンシンⅡ昇圧化学療法の記述である。
5 正
前記参照
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