薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 182
65歳男性。慢性閉塞性肺疾患の既往歴あり。数年前から労作時に息切れ、動悸を覚えるようになった。数日前から風邪様症状が出現し、夜間咳嗽、喀痰とともに起坐呼吸の状態となった。
身体所見:身長172 cm、体重69 kg、血圧140/85 mmHg、脈拍108/分(不整)、頸静脈怒張、収縮期雑音、下肢の浮腫著明。
検査所見:BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)716 pg/mL(基準値18.4 pg/mL以下)。
胸部X線写真:心胸郭比(CTR)71.5%、心電図:心房細動と左室肥大。
この患者に対する治療薬について、医師から薬剤師に相談があった。提案すべき治療薬として適切でないものはどれか。2つ選べ。
1 リシノプリル水和物
2 フロセミド
3 カルペリチド
4 メキシレチン塩酸塩
5 リキシセナチド
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解答 4、5
本患者は、BNP値の上昇、左室肥大、労作時の息切れ、夜間咳嗽、起坐呼吸、頸静脈怒張、下肢の浮腫などの検査値および所見から、慢性心不全であると推測される。
1 適切
リシノプリル水和物は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であり、体液量減少により前負荷を軽減、血管拡張により後負荷を軽減することで、慢性心不全の治療に用いられる。
2 適切
フロセミドは、ループ利尿薬であり、利尿作用により前負荷を軽減することで、慢性心不全の治療に用いられる。
3 適切
カルペリチドは、α型心房性ナトリウム利尿ペプチド製剤であり、利尿作用により前負荷を軽減、血管拡張により後負荷を軽減することで、急性心不全および慢性心不全の増悪期の治療に用いられる。
4 不適切
メキシレチン塩酸塩は、Vaughan Williams分類におけるⅠb群の抗不整脈薬であり、心室性不整脈の治療に用いられる。本患者は心房細動(上室性不整脈)が発症しているが、心室性不整脈は発症していないため、無効である。
5 不適切
リキシセナチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)作動薬であり、2型糖尿病の治療に用いられるが、心不全の治療には用いられない。
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