薬剤師国家試験 平成28年度 第101回 - 一般 理論問題 - 問 97
日本薬局方一般試験法の定性反応とその対象物の組合せとして正しいのはどれか。2つ選べ。
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解答 1、5
1 正
過マンガン酸塩(MnO4-)の定性反応に関する記述である。
過マンガン酸塩の硫酸酸性溶液(この溶液の色:赤紫色)に過酸化水素試液を加えるとマンガン(Ⅱ)イオンが生成し、泡立って脱色する。
2 誤
ヨウ化物(I-)の定性反応に関する記述である。
ヨウ化物の溶液に硝酸銀試液を加えるとき、黄色の沈殿(ヨウ化銀)を生じる。前記の反応で生じたヨウ化銀は、希硝酸や過量のアンモニア試液を追加しても溶けない。
3 誤
ホウ酸塩(BO2-)の定性反応に関する記述である。
ホウ酸塩に硫酸及びメタノールを混ぜて点火するとき、緑色の炎をあげて燃える。
4 誤
炭酸水素塩(HCO3-)の定性反応に関する記述である。
炭酸水素塩の冷溶液にフェノールフタレイン試液1滴を加えるとき、液は赤色を呈しないか、又は赤色を呈しても極めてうすい。
5 正
リン酸塩(PO43-)の定性反応に関する記述である。
リン酸塩(PO43-)の希硝酸酸性溶液に七モリブデン酸六アンモニウム試液を加えて加温するとき、黄色の沈殿を生じる。前記の反応で生じた沈殿に水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液を加えると、沈殿は溶ける。
補足:塩化物、チオ硫酸塩、炭酸塩の定性反応
<塩化物(Cl-)の定性反応>
(1)塩化物の溶液に硫酸及び過マンガン酸カリウムを加えて加熱するとき、塩素ガスを発し、このガスは潤したヨウ化カリウムデンプン紙を青変する。
(2)塩化物の溶液に硝酸銀を加えるとき、白色の沈殿を生じる。沈殿を分取し、この一部に希硝酸を加えても溶けない。また、他の一部に過量のアンモニア試液を加えるとき、溶ける。
<チオ硫酸塩(S2O32-)の定性反応>
(1)チオ硫酸塩の酢酸酸性溶液にヨウ素試液を滴加するとき、試液の色は消える。
(2)チオ硫酸塩の溶液に等容量の希塩酸を加えるとき、二酸化イオウのにおいを発し、液は徐々に白濁し、この白濁は放置するとき、黄色に変わる。
(3)チオ硫酸塩の溶液に過量の硝酸銀試液を加えるとき、白色の沈殿を生じ、放置するとき、沈殿は黒色に変わる。
<炭酸塩(CO32-)の定性反応>
(1)炭酸塩に希塩酸を加えるとき、泡立ってガスを発生する。このガスを水酸化カルシウム試液中に通じるとき、直ちに白色の沈殿を生じる(炭酸水素塩と共通)。
(2)炭酸塩の溶液に硫酸マグネシウム試液を加えるとき、白色の沈殿を生じ、希酢酸を追加するとき、沈殿は溶ける。
(3)炭酸塩の冷溶液にフェノールフタレイン試液1滴を加えるとき、液は赤色を呈する(炭酸水素塩との区別)。
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