薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 113
ヒトの体内で働くタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 膵臓から分泌されるキモトリプシンは、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離する。
2 トリプシンの触媒作用には、その活性部位にあるセリン残基が関与する。
3 トリプシノーゲンは、十二指腸上皮細胞から分泌されるエンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼともよばれる)により小腸内でトリプシンに変換される。
4 アンチトロンビンⅢは、主として血管内皮細胞から分泌され、トロンビンの活性を阻害する。
5 組織プラスミノーゲンアクチベーターは、血液凝固反応で形成されたフィブリンの分解反応を触媒する。
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解答 2、3
1 誤
タンパク質の末端のペプチド結合を分解する酵素をエキソペプチダーゼといい、タンパク質の非末端アミノ酸のペプチド結合を分解する酵素をエンドペプチダーゼという。膵臓から分泌されるキモトリプシンは、エンドペプチダーゼの一種であり、タンパク質中の芳香族アミノ酸のカルボキシ基側のペプチド結合を分解する。なお、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離させるエキソペプチダーゼには、カルボキシペプチダーゼがある。
2 正
活性中心にセリン残基をもつタンパク分解酵素をセリンプロテアーゼといい、トリプシンは代表的なセリンプロテアーゼの一種である。トリプシンは、タンパク質中の塩基性アミノ酸のカルボキシ基側のペプチド結合を分解するエンドペプチダーゼの一種である。
3 正
トリプシノーゲンは、トリプシンの不活性な酵素前駆体(チモーゲン)であり、膵臓から十二指腸に分泌され、その後十二指腸上皮細胞から分泌されるエンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼ)により小腸内でトリプシンに変換される。
4 誤
アンチトロンビンⅢは、主として肝臓で合成・分泌され、トロンビン(Ⅱa因子)やⅩa因子などのセリンプロテアーゼを阻害して、血液凝固系を抑制する。
5 誤
血液凝固反応で形成されたフィブリンの分解反応を触媒するのは、プラスミンである。なお、組織プラスミノーゲンアクチベーターは、不活性であるプラスミノーゲンを活性型のプラスミンに変換する反応を触媒する酵素である。
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