薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 理論問題 - 問 118
免疫系における胸腺の役割に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 T細胞の前駆細胞は骨髄で作られた後、胸腺に移動して分化・成熟する。
2 胸腺において、T細胞抗原受容体の遺伝子の再構成が起こる。
3 胸腺は、成人において造血が行われる主要な器官である。
4 胸腺は、二次リンパ器官の一つである。
5 B細胞は主として胸腺で産生され、リンパ節で分化・成熟する。
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解答 1、2
1 正
T細胞の前駆細胞は、骨髄のリンパ系幹細胞から分化し、胸腺へ移行した後、さらに分化・成熟する。また、T細胞の分化・成熟の過程には、胸腺における選択が関与しており、自己ペプチドとMHC抗原の複合体に適度に反応するものが成熟し(ポジティブセレクション)、自己ペプチドとMHC抗原の複合体に強く反応するものはアポトーシスにより死滅する(ネガティブセレクション)。
2 正
T細胞抗原受容体(TCR)やB細胞抗原受容体(BCR)の遺伝子は、遺伝子の再構成を受ける。TCRの遺伝子再構成は胸腺で行われ、これによってTCRの多様性が生じる。また1つのB細胞は1種類のBCRをもち、これと同様に1つのT細胞は1種類のTCRしかもたない。
3 誤
成人において造血が行われる主要な器官は骨髄である。骨髄には造血機能をもつ赤色骨髄と脂肪組織に置き換わり造血機能を失った黄色骨髄がある。
4 誤
リンパ球などの免疫担当細胞が産生・分化する場を一次リンパ器官といい、 骨髄や胸腺が該当する。また、免疫担当細胞による免疫応答が行われる場を二次リンパ器官といい、脾臓やパイエル板などが該当する。
5 誤
B細胞は骨髄で産生され、骨髄で成熟した後、末梢血管へ移行する。
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