薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 実践問題 - 問 226,227
65歳女性。慢性腎不全にて通院治療中。最近、時々腰が痛くなり、寝つきも良くないので、整形外科を受診した。骨粗しょう症と診断され、処方せんを薬局に持参した。
問226(実務)
上記の処方内容に関する服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 処方1の薬を服用してから少なくとも30分間は横になってはいけません。
2 処方2の薬を服用する場合は、空腹時を避けてください。
3 お茶やコーヒーなどのカフェインを含む飲料は処方された薬の効果を増強するので、摂取しないでください。
4 カルシウムを含むサプリメントを服用する場合は、相談してください。
5 腰痛が改善したら、いずれの薬もいつ服用をやめても構いません。
問227(衛生)
アルファカルシドールカプセルはビタミンD製剤である。ビタミンDの代謝反応のうち、慢性腎不全の患者において低下しているのはどれか。1つ選べ。
1 7−デヒドロコレステロールの開環反応
2 7−デヒドロコレステロールの1位の水酸化反応
3 25−(OH)ビタミンDの1位の水酸化反応
4 1α−(OH)ビタミンDの25位の水酸化反応
5 25−(OH)ビタミンDの開環反応
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問226 解答 2、4
1 誤
薬を服用してから少なくとも30分間は横になってはいけないのは、骨粗しょう症治療薬のビスホスホネート製剤である。ビスホスホネート製剤は、食道に留まることで食道潰瘍や食道炎などの上部消化管障害を引き起こすことがあるため、立位あるいは座位で十分量(約180 mL)の水とともに服用し、少なくとも服用後30分間は横にならないようにする必要がある。
2 正
ジクロフェナクNaは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であり、消化性潰瘍を引き起こすおそれがあるため、空腹時投与は避けることが好ましい。
3 誤
本患者に処方されている薬剤にはそのような報告はないため、本選択肢の服薬指導は不要である。なお、カフェインの摂取により作用が増強するため、本選択肢の服薬指導が必要な薬物としては、テオフィリンなどのキサンチン誘導体がある。
4 正
アルファカルシドールカプセルは、活性型ビタミンD3製剤であり、腸管におけるカルシウムの吸収を促進するため、カルシウムを含むサプリメントと併用すると高カルシウム血症が現れることがある。よって、本選択肢の指導は適切である。
5 誤
処方2のジクロフェナクNaは、痛い時に服用(頓服)となっているため、腰痛の改善が見られたら自己判断で服用を中止することが可能である。しかし、処方1は骨粗しょう症の治療目的で処方されているため、腰痛が改善されても服用を続けるように指導する必要がある。
問227 解答 3
ビタミンD(ビタミンD3)は、生体において以下の代謝を受けて活性型ビタミンD(活性型ビタミンD3)となる。
上記の経路の中で、慢性腎不全の患者では、25-(OH)ビタミンDの腎臓における1位の水酸化反応が低下している。なお、アルファカルシドールは、1α-水酸化体(1α-(OH)ビタミンD)であり、腎臓における水酸化反応が不要であるため慢性腎不全におけるビタミンD代謝異常に伴う低カルシウム血症の改善などに用いられる。
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