薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 実践問題 - 問 248,249
26歳女性。妊娠30週。妊娠高血圧症候群で経過観察中、切迫早産のため入院し、以下が処方された。
問248(実務)
処方薬の副作用として生じる可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
1 光線過敏
2 血清カルシウム低下
3 高血糖
4 血小板数増加
5 起立性低血圧
問249(薬理)
処方2の作用機序に関する記述として正しいのはどれか。1つ選べ。
1 アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断することにより、心拍出量を減少させる。
2 エンドセリンETA受容体を遮断することにより、血管平滑筋を弛緩させる。
3 アドレナリンα1受容体を選択的に遮断することにより、血管平滑筋を弛緩させる。
4 中枢性のアドレナリンα2受容体を刺激することにより、交感神経活性を低下させる。
5 ドパミンに変換されてドパミンD2受容体を刺激することにより、交感神経活性を低下させる。
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問248 解答 3、5
本処方による副作用として生じる可能性が高いのは、高血糖(選択肢3)及び起立性低血圧(選択肢5)である。
リトドリン塩酸塩は、選択的アドレナリンβ2受容体刺激薬であり、子宮平滑筋を弛緩させ切迫早産を抑制するが、肝臓でのグリコーゲン分解を促進するため、副作用として高血糖を生じる可能性が高い。
メチルドパ錠は、中枢性アドレナリンα2受容体刺激薬であり、神経終末からのノルアドレナリン(NAd)遊離抑制を介して交感神経活性を低下させることで血管を拡張させるため、副作用として起立性低血圧を生じる可能性が高い。
問249 解答 4
1 誤
アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断することにより、心拍出量を減少させる薬物には、アテノロール、アセブトロール、メトプロロールなどがある。
2 誤
エンドセリンETA受容体を遮断することにより、血管平滑筋を弛緩させる薬物には、ボセンタンやアンブリセンタンなどがある。
3 誤
アドレナリンα1受容体を選択的に遮断することにより、血管平滑筋を弛緩させる薬物には、プラゾシンやブナゾシンなどがある。
4 正
メチルドパは、体内で代謝されてメチルノルアドレナリンに変換され、中枢性のアドレナリンα2受容体を刺激することにより、神経終末からのNAd遊離を抑制して交感神経活性を低下させる。
5 誤
選択肢の作用機序に該当する薬剤はない。なお、ドパミンに変換されて薬理作用を示す薬剤には、レボドパやドカルパミンなどがある。
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