薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 実践問題 - 問 256,257
65歳男性。COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療のため、以下の処方せんを持って薬局を訪れた。
問256(実務)
この処方薬で注意すべき副作用はどれか。2つ選べ。
1 口渇
2 肺炎
3 口腔カンジダ症
4 動悸
5 血清カリウム濃度上昇
問257(薬理)
前問の「注意すべき副作用」の発現機序として誤っているのはどれか。2つ選べ。
1 心臓におけるアドレナリンβ1受容体の刺激
2 傍糸球体細胞におけるアドレナリンβ2受容体の刺激
3 心臓におけるアセチルコリンM2受容体の遮断
4 唾液腺におけるアセチルコリンM3受容体の遮断
5 T細胞でのサイトカイン産生抑制による免疫抑制
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問256 解答 1、4
本処方薬で注意すべき副作用は、口渇(選択肢1)及び動悸(選択肢4)である。
インダカテロールは、選択的アドレナリンβ2受容体刺激薬であり、気管支平滑筋のアドレナリンβ2受容体刺激により気管支拡張作用を示すため、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解に用いられる。また、弱いアドレナリンβ1受容体刺激作用を有するため、心臓のアドレナリンβ1受容体刺激による心機能の亢進に伴う動悸、腎臓傍糸球体細胞のアドレナリンβ1受容体刺激によるレニン分泌の促進に伴う血圧上昇を引き起こすことがある。なお、低カリウム血症(血清カリウム濃度低下)を起こすことが報告されている。
チオトロピウム臭化物水和物は、抗コリン薬であり、気管支平滑筋のアセチルコリンM3受容体遮断により気管支拡張作用を示すため、COPDの気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解に用いられる。また、唾液腺におけるアセチルコリンM3受容体遮断による唾液分泌の抑制に伴う口渇、心臓におけるアセチルコリンM2受容体遮断による動悸を引き起こすことがある。
問257 解答 2、5
前問参照
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