薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 実践問題 - 問 306,307
55歳男性。喫煙歴30年(1日20本程度)。前回の薬剤服用後に、意識がもうろうとし、ふらついたという。男性が原因を知りたいと薬局を訪れた。男性が服用していた薬剤は以下のとおりである。
問306(実務)
原因を特定するための薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 最近、薬の服用量が変更されたかを確認した。
2 かんきつ類を食べたり、そのジュースを飲んだりしていないかを尋ねた。
3 最近、禁煙を始めたかを尋ねた。
4 残薬の確認を行った。
5 クロナゼパムの服用を一時中止するように伝えた。
問307(法規・制度・倫理)
男性から、今回質問した事項について、知り合いの医師にも確認してみたいので、薬歴を開示して欲しいとの要望があった。対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。なお、この薬局は個人情報の保護に関する法律における個人情報取扱事業者である。
1 患者の権利や利益を害するおそれのある記述があったため、該当する部分を見えないようにして開示した。
2 薬歴の原本は渡すことはできないので、コピーして患者に渡した。
3 開示にかかった実費相当額の費用を患者に請求した。
4 薬局が定める開示手続きの方法にしたがって、開示の請求をするよう指示した。
5 薬歴の開示は薬局の義務ではないことを説明した。
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問306 解答 5
クロナゼパムは、ベンゾジアゼピン系薬剤であり抗てんかん薬として用いられるが、副作用として眠気、ふらつき、意識障害などを起こすことがある。また、ニソルジピンは、カルシウムチャネル遮断薬であり高血圧症及び狭心症に用いられるが、副作用として降圧に伴うめまいなどを起こすことがある。
本患者の薬剤服用後の意識がもうろうとし、ふらつきが現れたという症状は、薬剤の副作用によって現れた可能性が考えられる。そのため、副作用が強く現れた原因を特定するために、服用量の変更の確認や、嗜好品(たばこ、グレープフルーツジュース等)による相互作用の可能性の確認、残薬状況により服用方法が誤っていないかの確認などを行うことは、薬剤師の対応として適切である。なお、薬剤師の判断で服用を一時中止することはできないため、クロナゼパムの服用を一時中止するよう伝えることは、薬剤師の対応として適切でない。
問307 解答 5
1 適切
個人情報取扱事業者は、当該本人が識別される保有個人データの開示の請求を受けたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。(個人情報保護法第28条)
一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三 他の法令に違反することとなる場合
2 適切
薬局には薬歴の保存義務があることから、その原本を渡すことはできないため、コピーして患者に渡すことは適切な対応である。
3 適切
個人情報取扱事業者は、保有個人データの開示の請求を受けたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。(個人情報保護法第33条)
4 適切
個人情報取扱事業者は、保有個人データの開示等の求めに対し、政令で定めるところにより、その求め又は請求を受け付ける方法を定めることができる。この場合において、本人は、当該方法に従って、開示等の請求等を行わなければならない。(個人情報保護法第32条)
5 不適切
解説1参照
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