薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 実践問題 - 問 330
50歳女性。関節リウマチに対して、メトトレキサートで治療を開始した。6ヶ月間継続後、寛解の目標を達成できず、生物学的製剤の導入が検討された。関節リウマチに用いる生物学的製剤に関する記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。
1 いずれもTNF−α(腫瘍壊死因子−α)阻害薬である。
2 痛み、腫れを抑えるが、関節破壊の進行を抑えることはできない。
3 TNF−α阻害薬が奏功しない場合は、別のTNF−α阻害薬を用いてもよい。
4 いずれもメトトレキサートとの併用が必須である。
5 いずれも治療開始前に結核の既往歴を確認する。
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解答 3、5
1 誤
関節リウマチに用いる生物学的製剤には、インフリキシマブやアダリムマブ、エタネルセプトのようなTNF−α阻害薬や、トシリズマブのような抗IL−6受容体モノクローナル抗体、アバタセプトのようなCD80/CD86共シグナル阻害薬など様々な機序のものがあり、いずれもがTNF−α阻害薬なわけではない。
2 誤
関節リウマチに用いる生物学的製剤は免疫抑制作用により、炎症性サイトカインの遊離を抑制することで、痛みや腫れ、関節破壊の進行を抑える。
3 正
TNF−α阻害薬が奏功しない場合は、別のTNF−α阻害薬もしくは作用機序の異なる生物学的製剤への変更を考慮する。
4 誤
メトトレキサートとの併用が必須となる生物学的製剤はインフリキシマブのみである。インフリキシマブはキメラ型モノクローナル抗体であり、構造中にマウスタンパク由来の部分構造を有するため、体内で本剤に対する中和抗体が産生され、作用が減弱することがある。この中和抗体の産生を抑制するため、インフリキシマブのみメトトレキサートとの併用が必須となる。
5 正
生物学的製剤は免疫抑制作用をもつため、結核の感染および悪化の可能性が高くなり、それによる死亡例もみられている。そのため、生物学的製剤投与時には、いずれも治療開始前に胸部レントゲン検査やツベルクリン反応検査などを行い、結核の既往歴を確認する必要がある。
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