薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 一般 実践問題 - 問 340
60歳男性。数年来、糖尿病治療のためクリニックを受診している。このたび、糖尿病の病態悪化の傾向があり、現在服用中の薬剤に1薬剤が追加され、処方せんをかかりつけの薬局へ持参した。薬剤師がお薬手帳で現在服用中の薬剤を確認し、窓口で患者と以下の会話があった。
(薬剤師と患者との会話)
患 者:糖尿の薬がまた増えました。今度の薬も1日3回、食前に飲む必要がありますか。
薬剤師:新しく出た薬は1日1回ですよ。食前に飲み忘れた時は食後でもいいですよ。
患 者:どんな薬なのですか。注意することはありますか。
薬剤師:尿中に余分な糖を出すことで効果を発揮する薬です。今まで通り、低血糖症状に気をつけてください。それに追加して排尿時の違和感にも注意してください。尿量が増えることで喉が渇きやすくなるかもしれません。その時は水分補給を忘れないでください。
上記の会話から推測される糖尿病治療薬はどれか。1つ選べ。
1 グリベンクラミド
2 シタグリプチンリン酸塩水和物
3 ピオグリタゾン塩酸塩
4 イプラグリフロジンL−プロリン
5 ミチグリニドカルシウム水和物
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解答 4
薬剤師と患者との会話において、「尿中に余分な糖を出すことで効果を発揮する薬」と記載があることから、今回追加で処方された薬剤は、SGLT2阻害薬であるイプラグリフロジンL−プロリンであることが分かる。
1 誤
グリベンクラミドは、スルホニル尿素薬(SU薬)であり、膵β細胞のSU受容体に結合することでインスリン分泌を促進する糖尿病治療薬である。
2 誤
シタグリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害薬であり、インクレチンの分解に関わるDPP−4を阻害することでインクレチン濃度を上昇させ、血糖依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する糖尿病治療薬である。
3 誤
ピオグリタゾンは、インスリン抵抗性改善薬であり、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)を刺激することで、アディポネクチン産生を増加し、腫瘍壊死因子(TNF−α)産生を抑制する糖尿病治療薬である。
4 正
イプラグリフロジンは、Na+/グルコース共輸送担体(SGLT)2阻害薬であり、腎尿細管においてグルコースの再吸収を抑制することで、尿中へのグルコース排泄を増加させる糖尿病治療薬である。尿中にグルコースを排泄させる作用を有するため、副作用として尿路感染症、脱水などに注意する必要がある。
5 誤
ミチグリニドは、速攻型インスリン分泌促進薬であり、SU構造はもたないがSU薬同様、膵β細胞のSU受容体に結合することでインスリン分泌を促進する糖尿病治療薬である。
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