薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 必須問題 - 問 63
がん性疼痛の病態及び薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 速放性製剤のレスキュー投与は、突出痛に対して用いられる。
2 WHO方式がん疼痛治療法では、痛むときに素早く鎮痛薬を投与することを基本とする。
3 骨転移による限局的な鋭い痛みのほとんどは、神経障害性疼痛に分類される。
4 軽度の痛みであっても、アセトアミノフェンは用いない。
5 口腔粘膜吸収フェンタニル製剤は、過量投与による呼吸抑制を起こさない。
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解答 1
1 正
定期的な鎮痛薬の投与による痛みのコントロールを超えて出てくる激しい痛み(突出痛)が出現した場合には、速放性のオピオイド製剤の追加投与を行う。これをレスキュー投与(レスキュードーズ)という。
2 誤
WHO方式がん疼痛治療法では、痛みを常に抑えて患者のQOLを向上させることを目的としており、鎮痛薬は一定の間隔で時刻を決めて規則正しく投与することを基本とする。
3 誤
痛みには体の侵害受容器の障害によって生じる侵害性疼痛と、感覚神経の障害によって生じる神経障害性疼痛がある。また、侵害性疼痛には、骨や筋などに生じる体性痛と、肝臓や腎臓などの臓器に生じる内臓痛がある。骨転移による限局的な痛みは、骨の炎症や脆弱性によるものであり、侵害性疼痛の体性痛に分類される。
4 誤
がん性疼痛の鎮痛薬の選択はWHO三段階除痛ラダーに基づき、痛みの強さに応じて行われる。軽度の痛みの場合には、1段階目で使用する非オピオイド系鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAID)が用いられる。
5 誤
口腔粘膜吸収フェンタニル製剤などのオピオイド製剤は、過量投与により延髄呼吸中枢抑制作用による呼吸抑制を起こすことがある。
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