薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 110
図は、腎臓のネフロンの概略を示している。健常人の腎臓における体液調節に関与する部位ア〜オについての記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アは、主に腎臓の髄質部に局在している。
2 イでは、炭酸脱水酵素が関与してHCO3−が原尿中に分泌される。
3 ウでは、管腔内の水が受動的に再吸収される。
4 エでは、Na+とCl−が管腔内から間質液中へ輸送される。
5 オに分布するNa+/K+交換系は、アルドステロンにより抑制される。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
解答 3、4
腎臓の最小構造単位をネフロンといい、(ア)の腎小体と尿細管からなる。腎小体は糸球体とボーマンのうからなり、尿細管は(イ)の近位尿細管、(ウ)のヘンレ係蹄下行脚、(エ)のヘンレ係蹄上行脚、(オ)の遠位尿細管からなる。
1 誤
腎臓実質は腎皮質と腎髄質からなる。ネフロンはその腎皮質と腎髄質とにまたがって存在しており、腎皮質には腎小体、近位尿細管、遠位尿細管が、腎髄質にはヘンレ係蹄が存在する。
2 誤
近位尿細管では、炭酸脱水酵素(CA)が関与してH+が原尿中に分泌される。また、HCO3−は毛細血管側に再吸収される。(下図参照)
3 正
ヘンレ係蹄下行脚では、尿細管腔内と周りの間質細胞との浸透圧差(解説4参照)により、水が受動的に再吸収される。
4 正
ヘンレ係蹄上行脚では、Na+やCl−、K+を尿細管腔内から間質液中へ輸送することで、ヘンレ係蹄下行脚での水の再吸収に必要な尿細管腔内と周りの間質細胞との浸透圧差を作り出している。なお、ヘンレ係蹄上行脚では、水は再吸収されない。
5 誤
遠位尿細管に分布するNa+/K+交換系は、アルドステロンにより促進される。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿