薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 122
食品のメイラード反応に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 トーストしたパンの褐変や、香気成分の生成に関わる。
2 この反応によって生じるメラノイジンは、抗酸化作用を有している。
3 リシンのε-アミノ基がこの反応を受けると、栄養価は低下する。
4 リンゴの皮をむいて空気中に放置すると、この反応により褐変する。
5 ポテトチップス製造時におけるアクリルアミドの生成にも関与している。
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解答 4
メイラード反応では、還元糖のカルボニル基とタンパク質(アミノ酸)のアミノ基が非酵素的に反応し、シッフ塩基を生成し、アマドリ転移を受けた後、数段階の反応を経て褐色色素であるメラノイジンを生成する。
また、メイラード反応の中間で生じたα-ジカルボニル化合物は、アミノ酸と反応してアルデヒド類やピラジン類などの香気成分を生じる。この一連の反応はメイラード反応の副反応であり、ストレッカー分解とよばれる。
1 正しい
メイラード反応は、トーストしたパン、味噌、魚の照り焼きなどの褐変や香気成分の生成に関わる。
2 正しい
メラノイジンは、抗酸化作用や活性酸素消去作用などを有する。
3 正しい
タンパク質中のリシンのε-アミノ基がメイラード反応を受けると、必須アミノ酸であるリシンの含量が低下し、栄養価が低下する。
4 誤っている
リンゴの皮をむいて空気中に放置するとリンゴが褐変するのは、酵素的褐変現象によるものである。リンゴ、バナナ、桃などの植物性食品には、オルトジフェノール類(ポリフェノール化合物)と酸化酵素であるポリフェノールオキシダーゼが含まれている。皮をむくと酸素存在下ポリフェノールオキシダーゼによる酸化反応が起こり、オルトキノン体を生じ、これが重合してメラニン色素を生成するため食品が褐変する。
5 正しい
アスパラギンとグルコースやフルクトース等の還元糖を含む食品を180℃以上で加熱することでメイラード反応が起こり、発がん物質であるアクリルアミドを生じる。ジャガイモにはアスパラギンが多く含まれているため、ポテトチップス製造時にメイラード反応を起こしてアクリルアミドを生じる。
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