薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 130
平成26年の特定化学物質等障害予防規則(特化則)の改正により、クロロホルムが特定化学物質に指定され、ベンゼンなどの発がん物質と同様の管理が必要となった。クロロホルムを扱う作業者の労働衛生管理に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 作業者の健康を管理するため、特化則に基づく定期的な健康診断を実施する必要がある。
2 作業場に排気装置を設置すれば、作業環境中のクロロホルム濃度を定期的に測定する必要はない。
3 クロロホルムの発がん性を踏まえて、作業者の作業記録、健康診断の記録の保存期間は5年間とされている。
4 作業場には、物質名、有害作用、取扱い上の注意、保護具の装着などの掲示を行う必要がある。
5 クロロホルムへの曝露により、作業者の尿中へのメチル馬尿酸の排泄量が増加する。
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解答 1、4
労働安全衛生法のもと、労働者の化学物質による健康障害(がん、皮膚炎、神経障害など)を予防する目的で特定化学物質障害予防規則(特化則)が制定されている。事業者は、化学物質による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康被害を予防するため、使用する物質の毒性の確認、代替物の使用、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もって、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、化学物質にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最低限度にするよう努めなければならない。
特化則で規制されている物質を特定化学物質といい、化学物質の性質に基づいて第一類物質、第二類物質、第三類物質に大別される。以下に特化則で規制されている特定化学物質を示す。
なお、第一類物質と第二類物質のうち、がん原性物質またはその疑いのある物質(O-トルイジン、塩化ビニル、クロロホルムなど)については特別管理物質としており、特別管理物質の名称・人体に及ぼす作用・取扱い上の注意事項・使用すべき保護具を作業者の見える箇所への掲示の実施や、空気中濃度の測定結果・労働者の作業状況や健康診断記録等を30年間保存することが求められている。
1 正
クロロホルムを扱う作業者の健康を管理するため、特化則に基づく定期的な健康診断を実施する必要がある。
2 誤
定期的(6ヶ月以内ごと)に作業環境測定士による作業環境中のクロロホルム濃度の測定を実施する必要がある。
3 誤
前記参照
4 正
前記参照
5 誤
クロロホルム曝露により作業者の尿中へのメチル馬尿酸の排出量が増加することはない。なお、曝露により尿中へのメチル馬尿酸の排泄量が増加するのはキシレンである。
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