薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 167
薬物の消化管吸収とバイオアベイラビリティに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 カルバペネム系抗生物質であるメロペネムは、小腸粘膜での透過性が高いため、経口製剤として用いられる。
2 陰イオン交換樹脂であるコレスチラミンは、酸性物質であるプラバスタチンを吸着し、その吸収を阻害する。
3 経口製剤の絶対的バイオアベイラビリティは、その製剤を経口投与した際の血中濃度時間曲線下面積(AUC)を、等量の同一薬物を静脈内投与した際のAUCで除したものに等しい。
4 小腸において、親水性薬物のみかけの吸収速度は、非撹拌水層の拡散速度に依存する。
5 小腸下部から吸収された薬物は、門脈を経ずに下大静脈に入るために、肝初回通過効果を受けない。
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解答 2、3
1 誤
メロペネムは、小腸粘膜透過性が低いため、経口製剤としてではなく注射剤として用いられる。
2 正
コレスチラミンは、陰イオン交換樹脂製剤であり、プラバスタチンなどの酸性薬物と同時に経口投与すると、酸性薬物を吸着しその吸収を低下させる。
3 正
経口製剤の絶対的バイオアベイラビリティ(F)は、①式で表すことができる。
等量の同一薬物を投与した場合(Dpo = Div)は、②式となる。
②式より、経口製剤の絶対的バイオアベイラビリティは、その製剤を経口投与した際のAUCpoを、等量の同一薬物を静脈内投与した際のAUCivで除したものに等しいことがわかる。
4 誤
小腸における薬物のみかけの吸収速度は、粘膜表面に存在する非撹拌水層の拡散速度と消化管粘膜透過速度の2つの過程を考慮する必要がある。親水性薬物は、消化管粘膜透過過程が律速過程となり、疎水性薬物は、非撹拌水層の拡散過程が律速過程となる。そのため、親水性薬物のみかけの吸収速度は、消化管粘膜透過速度に依存する。
5 誤
小腸から吸収された薬物は、小腸上部・中部・下部いずれの場合も、門脈を経て肝臓に流入するため、肝初回通過効果を受ける。なお、直腸下部から吸収された薬物は、門脈を経ず下大静脈に流入るために、肝初回通過効果を受けない。
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