薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 177
図の固形製剤の製造工程に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 粉砕を行うと、主薬が分解することがある。
2 結合剤を粉末のまま用いると、水溶液で用いた場合に比べ、均質な造粒物が得られる。
3 混合①から乾燥までの操作を同一装置で連続的に行うには、流動層造粒機が適している。
4 滑沢剤の添加量が多いほど、整粒した粉体の流動性が高くなる。
5 図の原料の組合せと工程は、トローチ剤の製造に用いられる。
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解答 1、3
1 正
粉砕とは、医薬品原料粉末や賦形剤などの固体粒子に衝撃、摩擦などの機械的な外力を加えて粒子を粉砕する単位操作である。粉砕の際、衝撃や摩擦などにより熱が発生し、主薬が分解することがある。
2 誤
結合剤は、結晶セルロースなどの粉体のまま添加して混合して使用する場合に比べて、ヒドロキシプロピルセルロースなどを水などの溶剤に溶解または膨潤させて使用する場合の方が、均質な造粒物が得られる。
3 正
流動層造粒機は、原料粉末を造粒機の下方から熱気流によって流動させ、これに結合剤溶液を噴霧し、粉体を凝集、同時に乾燥して造粒を行う機械で、比較的柔らかな造粒物の量産に適し、顆粒剤や錠剤の製造過程で利用される。また、この造粒機を利用することで、混合、造粒、乾燥、さらにコーティング操作を同一装置内で連続的に行うことができる。したがって、流動層造粒機は図中の混合①から乾燥までの操作を同一装置で連続的に行うことに適している。
4 誤
滑沢剤は、粉体と粉体の間に入り込み、粉体同士の接触面積を減らすため、粉体の流動性を向上させる。そのため、主に打錠工程において粉体の流動性を向上させ、粉体の臼への充てん、杵による圧縮や錠剤の排出を円滑に行い、打錠障害を防ぐために添加される。滑沢剤の添加量には最適値があり、添加量が多すぎると流動性の低下を招くことがある。
5 誤
トローチ剤は、日本薬局方において、「口腔内で徐々に溶解又は崩壊させ、口腔、咽頭などの局所に適用する製剤である」と定義されており、口腔内で徐々に溶解又は崩壊させるために、崩壊剤を添加しない製剤である。図の固形製剤の製造工程中では、崩壊剤が添加されているため、トローチ剤の製造には用いられない。
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