薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 理論問題 - 問 195
薬物の乳汁移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 母乳pHは血漿pHよりも高値であるため、塩基性薬物は母乳中に移行しやすい。
2 相対的乳児摂取量は、薬物の乳汁中濃度と母体血漿中濃度の比に100を乗じて算出する。
3 乳汁/血漿中薬物濃度比(M:P比)に影響を及ぼす要因として、薬物の脂溶性、分子量、タンパク結合率、pKaがある。
4 ブロモクリプチンは、母乳中への移行が多い。
5 炭酸リチウムは、母乳中へ移行するが、服薬と授乳のタイミングを工夫することで、授乳婦への投与は可能である。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
解答 3
1 誤
母乳pH(約6.8)であり、血漿pH(約7.4)よりも低値である。そのため、塩基性薬物は血漿中において分子形分率が高くなり、母乳中においてイオン形分率が高くなるため、母乳中に移行しやすい。
2 誤
相対的乳児摂取量は、母乳を介した乳児への体重あたりの薬物摂取量が母親への体重あたりの投与量の何%にあたるかを示すものであり、乳児の薬物摂取量と母体の薬物摂取量の比に100を乗じて算出する。
3 正
乳汁/血漿中薬物濃度比(M:P比)は、血漿中から乳汁中への薬物の移行のしやすさの指標として用いられ、これに影響を及ぼす要因として、薬物の脂溶性、分子量、タンパク結合率、pKaなどがある。
4 誤
ブロモクリプチンは、脳下垂体のドパミンD2受容体を遮断することで乳汁分泌を抑制する作用は有するが、乳汁中への移行は認められていない。
5 誤
炭酸リチウムは、母乳中へ移行するため授乳婦への投与は禁忌となる。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿