薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 202,203
69歳女性。関節リウマチと診断され、抗リウマチ薬を服用中である。関節症状は改善傾向であった。数日前より発熱、乾性咳が出現し、本日、呼吸困難症状が出現したため緊急入院となった。胸部X線CT画像検査の結果、広範なモザイク状のすりガラス陰影が確認された。
問202(実務)
薬物の副作用として最も疑われる疾患名はどれか。1つ選べ。
1 間質性肺炎
2 細菌性肺炎
3 肺気腫
4 肺結核
5 マイコプラズマ肺炎
問203(物理・化学・生物)
実施した画像検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 この画像検査で用いる電磁波の波長は、50〜200 nmである。
2 この画像検査では、脂肪組織よりも骨の方が強く電磁波を吸収する。
3 この画像検査では、陰性造影剤としてヨウ素化合物を用いる。
4 モザイク状のすりガラス陰影の濃淡は、電磁波照射後の水素原子核の緩和時間の差を表す。
5 アクリル板などでの遮へいにより、測定者も電磁波の被曝から防護する必要がある。
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問202 解答 1
本患者の症状(発熱、乾性咳、呼吸困難症状)、画像検査の結果(広範なモザイク状のすりガラス陰影)から、最も疑われる疾患は間質性肺炎である。抗リウマチ薬の中ではメトトレキサートやレフルノミドの副作用として間質性肺炎を引き起こすことがある。その他、副作用として間質性肺炎を引き起こす薬物として、インターフェロン、ブレオマイシン、アミオダロン、ゲフィチニブなどがある。
問203 解答 2
1 誤
X線CTで用いる電磁波の波長は、1 pm〜10 nmである。なお、50〜200 nmは真空紫外線の波長領域である。
2 正
X線CTでは、人体にX線を照射し、各組織におけるX線吸収率(透過率)の差を画像化している。X線吸収率は、骨>筋肉>血液>脂肪組織>肺の順になる。よって、脂肪組織よりも骨の方が強くX線を吸収する。
3 誤
X線造影剤には、X線吸収率の高い陽性造影剤とX線吸収率の低い陰性造影剤がある。陽性造影剤は、硫酸バリウムやヨウ素化合物が用いられ、陰性造影剤は、空気や炭酸ガスが用いられる。
4 誤
X線CTの画像検査において、モザイク状のすりガラス陰影の濃淡は、X線吸収率の差を画像化したものである。なお、電磁波照射後の水素原子核の緩和時間の差を利用している画像診断法は、MRI(磁気共鳴画像診断法)である。
5 誤
X線を用いた画像診断法では鉛板での遮へいにより、測定者も電磁波の被曝から防護する必要がある。
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