薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 250,251
45歳男性。「最近、肩こりや腰痛がひどく、寝付きも悪く、しだいに朝起きるのがつらくなった。不安感が強く、仕事が楽しいと感じることもなくなり、職場に行くことが苦痛である。」と訴え心療内科を受診し、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。
問250(実務)
薬剤師の服薬指導の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 眼圧低下が起こることがありますので、物がひずんで見えたり、視野が暗くなったりしたら、すぐに薬剤師に相談してください。
2 立ち上がる際は、ゆっくりと立ち上がり、めまいやふらつきに注意してください。
3 薬の影響で、尿や汗に赤い色がつくことがあります。
4 自動車の運転等の危険を伴う機械の操作は避けてください。
問251(薬理)
1週間後、以下の処方3が追加された処方箋を持って、再度薬局を訪れた。
この患者が服用している薬剤の中に追加薬剤と併用禁忌のものが2つあるため、処方を追加した医師に疑義照会を行った。併用によって生じる副作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アドレナリンα2受容体が過剰に刺激され、著しい血圧低下が現れる。
2 Ca2+チャネルが過剰に阻害され、著しい血圧上昇が現れる。
3 γ-アミノ酪酸GABAA受容体が過剰に活性化され、著しい筋弛緩作用が現れる。
4 メラトニン受容体が過剰に刺激され、催眠作用が著しく増強される。
5 HMG-CoA還元酵素が過剰に阻害され、横紋筋融解症の発症リスクが高まる。
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問250 解答 2、4
1 誤
本患者の処方薬中に、眼圧を低下させる薬剤は含まれていない。よって、本患者に対する服薬指導として適切ではない。なお、ロラゼパムは、抗コリン作用により眼圧が上昇するおそれがあるため、急性狭隅角緑内障の患者には禁忌である。
2 正
チザニジン及びニフェジピンは、降圧作用に基づくめまいやふらつき等が現れるおそれがある。そのため、本剤服用患者に対して、立ち上がる際はゆっくりと立ち上がり、めまいやふらつき等に注意するよう指導することは適切である。
3 誤
本患者の処方薬中に、尿や汗の色を変化させる薬剤は含まれていない。よって、本患者に対する服薬指導として適切ではない。なお、尿や汗の色を変化させる代表的な薬剤としては、リファンピシンなどがある。
4 正
ロラゼパム及びラメルテオンは催眠薬であり、眠気・注意力・集中力・反射運動能力等の低下を引き起こすことがある。そのため、本剤服用患者に対して、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないように指導することは適切である。
問251 解答 1、4
フルボキサミンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)あり、CYP1A2阻害作用を有するため、CYP1A2によって代謝される薬物との併用に注意が必要である。この患者が服用している薬剤のうち、チザニジン及びラメルテオンは、フルボキサミンと併用禁忌である。
チザニジンは、中枢性筋弛緩薬であり、アドレナリンα2受容体を刺激することで脊髄多シナプス反射を抑制し、骨格筋を弛緩させる。フルボキサミンと併用することでチザニジンの代謝が遅延し、血中濃度が上昇する。その結果、アドレナリンα2受容体が過剰に刺激されることで、交感神経終末からのノルアドレナリン遊離が抑制され、著しい血圧低下が現れることがある。
ラメルテオンは、メラトニン受容体を刺激することで催眠作用を示す。フルボキサミンと併用することでラメルテオンの代謝が遅延し、血中濃度が上昇するため、メラトニン受容体が過剰に刺激され、催眠作用が著しく増強される。
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