薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 260,261
35歳女性。体重55 kg。C型慢性肝炎と診断され、治療開始となった。ペグインターフェロンアルファ-2a(週1回皮下注射)での治療が開始され、以下の処方が出された。
問260(薬理)
この患者に使用する治療薬のC型肝炎ウイルスに対する作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。
1 NS5Bポリメラーゼを阻害する。
2 NS3/4Aプロテアーゼを阻害する。
3 RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する。
4 DNAポリメラーゼを阻害する。
5 逆転写酵素を阻害する。
問261(実務)
薬剤師が患者に対して指導・説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 眠れない、食欲がない、意欲がないなどの症状が出たら、医師又は薬剤師に申し出てください。
2 熱が出たら、市販の解熱薬を服用し、様子を見てください。
3 朝食後飲み忘れた場合は、その日の夕食後服用分と合わせて、夕食後に服用してください。
4 催奇形性がある薬が含まれているので、避妊してください。
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問260 解答 1、2、3
(複数の正解があるため、1、2、3いずれか2つの選択で正解とする。)
1 正
NS5Bポリメラーゼは、RNA依存性RNAポリメラーゼの一種である。本患者に処方されている薬物のうち、リバビリンは、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬であり、ウイルス感染細胞内でリン酸化された後、C型肝炎ウイルス由来のRNAポリメラーゼを阻害する。
2 正
シメプレビルは、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬であり、C型肝炎ウイルスのNS3/4Aプロテアーゼを阻害し、ウイルスの非構造タンパク質の産生を抑制することで抗ウイルス作用を示す。
3 正
解説1参照
4 誤
本患者の処方薬の中に、DNAポリメラーゼを阻害する薬物は含まれていない。なお、DNAポリメラーゼを阻害する薬物には、B型肝炎治療薬のエンテカビルなどがある。
5 誤
本患者の処方薬の中に、逆転写酵素を阻害する薬物は含まれていない。なお、逆転写酵素を阻害する薬物には、B型肝炎治療薬のラミブジンなどがある。
問261 解答 1、4
1 正
本患者において、眠れない、食欲がない、意欲がないなどの症状が現れた場合、ペグインターフェロンアルファ-2a及びリバビリンの重大な副作用であるうつ病や自殺企図が発現している可能性があるため、投与を中止するなど、適切な処置を行う必要がある。したがって、本選択肢の指導は適切である。
2 誤
本患者において、熱が出た場合、ペグインターフェロンアルファ-2a、シメプレビル、リバビリンの重大な副作用である間質性肺炎、無顆粒球症、汎血球減少などが発現している可能性があるため、投与を中止するなど、適切な処置を行う必要がある。よって、熱が出た場合には、市販の解熱薬を服用するように指導するのではなく、医師又は薬剤師に申し出るように指導する必要がある。
3 誤
朝食後飲み忘れた場合は、2回分を一度に服用せず、気づいた時点で1回分を服用するように指導する。ただし、次の服用時間が近い場合には、1回分をとばして、次の時間に1回分を服用するよう指導する。その日の夕食後服用分と合わせて、夕食後に服用するように指導した場合、過量摂取になる恐れがあるため適切な指導ではない。
4 正
リバビリンは、催奇形性が報告されているため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌であり、投与中及び投与終了後6ヶ月間は避妊する必要がある。そのため、本選択肢の指導は適切である。
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