薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 296,297
56歳男性。以下の処方箋を持って薬局を訪れた。足裏と足側面にかゆみ、水疱、皮膚の剥離などの症状が出現し、皮膚科外来を受診したとのことであった。
問296(実務)
この外用剤を使用する際に伝えるべき注意点として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1 症状の改善が認められたら、徐々に塗布回数を減らす。
2 アキレス腱周囲ぐらいまで広めに塗布する。
3 患部は保湿に心がける。
4 塗布した状態で日光にあたらない。
5 塗布部位に発赤などが生じたら、使用を中止する。
問297(病態・薬物治療)
この患者の病態と処方薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。
1 この患者は皮膚真菌症に罹患している。
2 症状と発症部位から足カンジダ症の可能性が高い。
3 深在性真菌症にも有効である。
4 患部のびらん症状がひどくなった場合には、内服療法へ切り替える。
5 病変部位を採取し直接鏡検を行い、治癒を確認する。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
問296 解答 2、5
足裏と足側面にかゆみ、水疱、皮膚の剥離などの症状が出現していること、抗真菌薬であるラノコナゾールクリームが処方されていることから、本患者は皮膚真菌症の足白癬であると考えられる。
1 誤
かゆみ、水疱などの症状が改善しても、急に塗布回数を減らして中止すると症状が再燃するおそれがある。そのため、症状が改善しても、角質が入れ替わる約1ヶ月は医師の指導のもと塗り続けながら塗布回数を減らす必要がある。
2 正
白癬菌は病変部の周りまで広がって存在している可能性があるため、少し広めにアキレス腱周囲ぐらいまで薬剤を塗布する。
3 誤
白癬菌は高温多湿条件で増殖しやすいため、患部を清潔にして通気性をよくするように心がける。
4 誤
ラノコナゾールクリームは特に日光に影響される薬剤ではないため、日光にあたらないよう注意する必要はない。
5 正
ラノコナゾールクリームは、塗布中に発赤や皮膚炎などの副作用があらわれることがあり、それらが生じた場合には使用を中止する必要がある。
問297 解答 2、3
1 正しい
導入文参照
2 誤っている
足カンジダ症では指の間に紅斑や膿を認めることが多く、それ以上病変部位が広がることはほとんどない。そのため、本患者は足カンジダ症ではなく足白癬であると考えられる。(導入文参照)
3 誤っている
ラノコナゾールクリームなどの抗真菌薬の外用剤は、真菌が表皮・爪・毛・粘膜などの生体表面に限局する表在性真菌症の治療には用いられるが、血液・内臓などに真菌が認められる深在性真菌症には用いられない。なお、深在性真菌症の治療には抗真菌薬の内服または注射が用いられる。
4 正しい
一般的に、足白癬の治療には抗真菌薬の外用剤を用いるが、びらん症状が起こっている場合には内服療法へ切り替えて治療を行う。
5 正しい
皮膚真菌症では病変部位を採取し、水酸化カリウムなどで溶解したのちに直接鏡検を行い、治癒を確認する。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿