薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 336
汎発性血管内血液凝固症の治療のため下腿末梢静脈からガベキサートメシル酸塩(以下GMと略す)を点滴投与していた患者に、投与開始6日後になって注射部位から血管に沿って静脈炎が生じた。同様事例の予防のため、考えられる対策として誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 GMはできるだけ太い血管より投与するよう医療スタッフに周知する。
2 GMはできるだけ短時間で投与を終えるように、点滴速度の調整を医療スタッフに周知する。
3 今回起こった事例の背景要因について医療スタッフ間で情報共有する。
4 GMを末梢血管から投与するときの濃度について処方監査を徹底する。
5 販売名の異なるGM製剤採用にあたっては静脈炎の危険性を改めて医療スタッフに周知する。
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解答 2
ガベキサートメシル酸塩(GM)の添付文書において、高濃度で使用した場合、血管内壁を障害し、注射部位及び刺入した血管に沿って静脈炎等を起こすことがあるとして、注意が記載されている。また、汎発性血管内凝固症に用いる場合、通常、成人1日量ガベキサートメシル酸塩として20〜39 mg/kgの範囲内で24時間かけて静脈内に持続投与するとされている。本剤の投与において、血管炎・静脈炎の予防には以下の点に注意することが推奨されている。
・本剤を末梢血管から投与する場合、薬液の濃度を0.2%以下(本剤100mgあたり50mL以上の輸液)で使用する。
・本剤を中心静脈から投与する場合でも、可能な限り末梢血管からの投与と同様に低濃度で使用する(本剤を中心静脈から投与して投与部位に血栓性静脈炎が発現したとの報告がある)。
・薬液が血管外へ漏れると、投与部位に潰瘍・壊死を起こすことがあるので、漏出しないように注意する。また、血液うっ滞が起こらないようできるだけ太い血管から投与する。
・本剤の使用に際しては、投与部位及び刺入した血管の観察を十分に行い、投与部位に血管痛、発赤、炎症等があらわれた場合には、投与部位の変更又は投与を中止し、適切な処置を行う。
1 正しい
上記参照
2 誤っている
本剤は、汎発性血管内凝固症に用いる場合、通常、成人1日量ガベキサートメシル酸塩として20〜39 mg/kgの範囲内で24時間かけて静脈内に持続投与するとされているため、できるだけ短時間で投与を終えるように、点滴速度の調整を医療スタッフに周知するのは適切ではない。
3 正しい
今回起こった事例の背景要因について医療スタッフ間で情報共有することは、今後の同様事例の予防に有用である。
4 正しい
本剤を末梢血管から投与する場合、薬液の濃度を0.2%以下(本剤100mgあたり50mL以上の輸液)で使用するとされているため、濃度について処方監査を徹底することは静脈炎の予防に有用である。
5 正しい
販売名の異なるGM製剤に関しても同様に静脈炎の危険性があるため、改めて医療スタッフと情報共有することは静脈炎の予防に有用である。
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