薬剤師国家試験 平成30年度 第103回 - 一般 実践問題 - 問 339
28歳男性。双極性障害のために炭酸リチウム錠とバルプロ酸ナトリウム徐放錠で治療を行っている。今回、うつ症状の改善がみられないため、主治医よりラモトリギン錠を追加したいと薬剤部に相談があった。
バルプロ酸ナトリウム徐放錠とラモトリギン錠の併用に関する情報提供の内容について適切なのはどれか。1つ選べ。
1 ラモトリギン錠はバルプロ酸ナトリウム徐放錠と併用禁忌である。
2 両剤の併用で血糖値上昇が考えられるので、定期的な検査を実施する。
3 併用開始後2週間までは、ラモトリギン錠を隔日投与する。
4 両剤の併用で血中アンモニア濃度の上昇が考えられるので、定期的な検査を実施する。
5 両剤の併用でラモトリギンの半減期が短くなるため、投与量を漸増する。
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解答 3
ラモトリギン錠は主としてグルクロン酸転移酵素(主にUGT1A4)で代謝されるため、同じグルクロン酸抱合による代謝を受けるバルプロ酸ナトリウムとの競合により、ラモトリギン製剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告があり、両剤は併用注意となっている。そのため、バルプロ酸を併用する場合は、併用開始後2週間までは、ラモトリギン錠を隔日投与する必要がある。
なお、ラモトリギン錠を成人のてんかん患者に用いる場合の用法用量は、以下の通りとなっている。
・単剤療法の場合
通常、ラモトリギンとして最初の2週間は1日25 mgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日50 mgを1日1回経口投与し、5週目は1日100 mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。その後は、1~2週間毎に1日量として最大100 mgずつ漸増する。維持用量は1日100~200 mgとし、1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100 mgずつ、1日用量は最大400 mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
・バルプロ酸ナトリウムを併用する場合
通常、ラモトリギンとして最初の2週間は1回25 mgを隔日に経口投与し、次の2週間は1日25 mgを1日1回経口投与する。その後は、1~2週間毎に1日量として25~50 mgずつ漸増する。維持用量は1日100~200 mgとし、1日2回に分割して経口投与する。
1 誤
ラモトリギン錠はバルプロ酸ナトリウム徐放錠と併用注意である。
2 誤
両剤の併用で血糖値が上昇するとの報告はない。なお、両剤の併用で重篤な皮膚障害の発現率が高くなるとの報告はあるため、十分に注意し異常が認められた場合には、ラモトリギン錠の投与を中止し適切な処置をする必要がある。
3 正
前記参照
4 誤
両剤の併用で血中アンモニア濃度が高くなるとの報告はない。
5 誤
前記参照
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