薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 理論問題 - 問 117
図1は一般的なグラム染色の手順①〜④とそれによるA菌及びB菌の染色結果を示している。また、図2は別の2種類の菌のグラム染色の結果である。グラム染色及びその結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 グラム染色に用いる試薬は、①がルゴール液、②がクリスタルバイオレット溶液、③がエタノール、④がサフラニン溶液である。
2 ④では、A菌は濃いピンク色に、B菌は青紫色に染色される。
3 A菌はグラム陽性菌であり、B菌はグラム陰性菌である。
4 黄色ブドウ球菌のグラム染色の結果は、図2のアのようになる。
5 芽胞を形成している菌をグラム染色すると、図2のイのように内部の一部が染色されにくいことがある。
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解答 3、5
1 誤
グラム染色に用いる試薬は、①がクリスタルバイオレット溶液、②がルゴール液、③がエタノール、④がサフラニン溶液である。
グラム染色は、細菌の細胞壁の違いにより染め分けることにより分類する。以下にグラム染色の操作手順①〜④を示す。
操作手順①:クリスタルバイオレット溶液により、細菌を青紫色に染色する。
操作手順②:ルゴール液(ヨウ素−ヨウ化カリウム液)により、クリスタルバイオレット溶液を細菌に定着させる。
操作手順③:エタノールにより、脱色する。一般に、グラム陽性菌はペプチドグリカンが厚く、クリスタルバイオレット−ヨウ素複合体が細胞外に流出(脱色)しにくいため、青紫色を呈する。一方、グラム陰性菌は、ペプチドグリカンが薄く、クリスタルバイオレット−ヨウ素複合体が細胞外に流出(脱色)しやすいため、無色になる。
操作手順④:サフラニン溶液により、対比染色し、グラム陰性菌を濃いピンク色(赤色)に染色する。また、グラム陽性菌は、クリスタルバイオレット溶液により青紫色に染色されているため、色調の変化はない。
2 誤
操作手順④では、A菌は青紫色に、B菌は濃いピンク色に染色される。
3 正
操作手順③より、A菌はグラム陽性菌であり、B菌はグラム陰性菌であると推測できる。
4 誤
黄色ブドウ球菌は、グラム陽性菌であるため、グラム染色により青紫色を呈する。なお、図アはグラム陰性菌のグラム染色したものであり、淋菌や髄膜炎菌などがあげられる。
5 正
芽胞は、増殖に適さない環境になると菌体内で形成される耐久性の高い細胞構造であり、加熱や薬剤に高い抵抗性をもつ。そのため、芽胞を形成している細菌をグラム染色しても、芽胞部位は染色されにくいことがあり、図イのように菌体内が局所的に薄く見えることがある。
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