薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 理論問題 - 問 125

母子感染とその予防に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

１　水平感染とは、母親から胎児又は新生児に病原体が直接伝播する感染様式である。
２　ヒト免疫不全ウイルス（HIV）は、母子感染することはない。
３　HBs抗原陽性の母親から生まれてくる児には、出生後、抗HBs人免疫グロブリンとB型肝炎ワクチンを投与する必要がある。
４　梅毒トレポネーマに対して、人工栄養哺育などにより母乳を介した感染を防ぐ対策がなされている。
５　妊娠初期に妊婦が風しんに罹患すると、先天性風しん症候群を起こすことがある。

HBs：B型肝炎（HB）ウイルス粒子の外部を構成するタンパク質

REC講師による詳細解説！ 解説を表示

解答　３、５

１　誤
水平感染とは、接触感染、飛沫核感染などの同一世代間での感染様式をいう。一方、母子感染（垂直感染）とは、母親から子（胎児や新生児）へ病原体が直接伝播する感染様式をいう。

２　誤
ヒト免疫不全ウイルス（HIV）は、経胎盤感染や産道感染などの母子感染を引き起こす。

３　正
B型肝炎キャリアーの母親から生まれてくる児は、母子感染によりB型肝炎にほぼ100％罹患する。そのため、B型肝炎母子感染防止事業では、キャリアー妊婦から出生した児に対しては抗HBs人免疫グロブリンとB型肝炎ワクチンの投与を行う。

４　誤
梅毒トレポネーマは、主に経胎盤感染するが、母乳を介した感染は知られていない。そのため、母乳を介した感染を防ぐ対策をする必要はない。なお、妊婦が梅毒に感染した際は、ペニシリンなどの抗生物質による治療が必要である。

５　正
妊娠初期に妊婦が風しんに罹患すると、経胎盤感染により先天性風しん症候群を起こすことがある。新生児が先天性風しん症候群に罹患すると、心奇形、難聴、白内障などの症状を引き起こす。原則、妊娠中に予防接種を受けることができないため、妊娠前に抗体検査を受け、抗体価が低い場合は、風疹ワクチンの接種が推奨される。

他の解説動画を見る