薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 理論問題 - 問 155
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アンジオテンシンⅡAT1受容体を遮断する薬物は、副腎皮質球状層からのアルドステロン分泌量を減少させる。
2 キニナーゼⅡを阻害する薬物は、血中のブラジキニン量を増加させる。
3 レニンを阻害する薬物は、血中のブラジキニン量を増加させる。
4 アドレナリンβ1受容体を遮断する薬物は、傍糸球体細胞からのレニンの分泌量を増加させる。
5 アンジオテンシン変換酵素を阻害する薬物は、血中のレニン量を減少させる。
- REC講師による詳細解説! 解説を表示
-
解答 1、2
レニン−アンギオテンシン系では、腎臓の傍糸球体細胞から分泌されるレニンにより生成するアンギオテンシンⅠに、アンギオテンシンⅠ変換酵素(ACE)が作用することでアンギオテンシンⅡが生成される。アンギオテンシンⅡは、血管収縮作用や副腎皮質の球状層からのアルドステロン分泌促進作用などを有するため、血圧及び血中ナトリウム濃度を上昇させる。
1 正
アンギオテンシンⅡによるアルドステロン分泌促進作用は、アンギオテンシンⅡAT1受容体を介して現れる。そのため、AT1受容体を遮断する薬物は、副腎皮質球状層からのアルドステロン分泌量を減少させる。なお、AT1受容体を遮断する薬物には、ロサルタンなどがある。
2 正
キニナーゼⅡは、ACEと同一酵素であり、血中ブラジキニンの分解に関与する。そのため、ACE阻害薬のようなキニナーゼⅡを阻害する薬物は、ブラジキニンの分解を抑制し、血中ブラジキニン量を増加させる。
3 誤
アリスキレンのようなレニン阻害薬は、血中アンギオテンシンⅠとアンギオテンシンⅡの量を減少させるが、血中のブラジキニン量には関与しない。なお、血中のブラジキニン量を増加させる薬物は、ACE阻害薬である(解説2参照)。
4 誤
腎臓の傍糸球体細胞からのレニン分泌には、交感神経興奮を介したアドレナリンβ1受容体が関与する。そのため、β1受容体を遮断する薬物は、傍糸球体細胞からのレニン分泌量を減少させる。なお、β1受容体を遮断する薬物には、プロプラノロールなどがある。
5 誤
ACEを阻害する薬物は、アンギオテンシンⅠからアンギオテンシンⅡへの変換を阻害し、血中アンギオテンシンⅡ濃度を低下させる。そのため、アンギオテンシンⅡ濃度を正常化させる代償性機構によりレニン−アンギオテンシン系が亢進し、血中のレニン量が増加することがある。なお、ACE阻害薬には、カプトプリルなどがある。
- この過去問解説ページの評価をお願いします!
-
評価を投稿