薬剤師国家試験 平成31年度 第104回 - 一般 理論問題 - 問 192,193
問192
35歳男性。身長172 cm、体重67 kg。頭痛と四肢の脱力感があり、血圧が180/110 mmHgであったため病院を受診した。血液検査の結果、血清カリウム値は3.0 mEq/Lであった。血中の甲状腺ホルモン値、カテコールアミン値、ACTH値には異常を認めず、腹部CT検査にて両側副腎の腫大を認めた。本症例に対する治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 プレドニゾロン
2 スピロノラクトン
3 アムロジピン
4 フロセミド
5 ニトログリセリン
問193
前問で選択した2つの薬物を長期服用したところ、女性化乳房が出現した。この副作用発現に関わる受容体として正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ドパミンD2受容体
2 グルココルチコイド受容体
3 アンドロゲン受容体
4 アルドステロン受容体
5 プロゲステロン受容体
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問192 解答 2、3
本患者は、血圧が180/110 mmHgと高いが、血中の甲状腺ホルモン値、カテコールアミン値、ACTH値には異常を認めていないため、バセドウ病や褐色細胞腫、クッシング病などの可能性は否定される。そして、腹部CT検査にて両側副腎の腫大を認め、血清カリウム値は3.0 mEq/Lが低値を示していることから、原発性アルドステロン症の一種である、特発性アルドステロン症であると推測される。
特発性アルドステロン症の治療の基本は薬物療法であり、抗アルドステロン薬(スピロノラクトンなど)が第一選択薬として用いられる。また、降圧の補助薬として、カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)やACE阻害薬(エナラプリルなど)、ARB(カンデサルタンなど)を併用することもある。
問193 解答 3、5
前問で選択したスピロノラクトンとアムロジピンのうち、長期服用により女性化乳房を発現することがあることで有名な薬物はスピロノラクトンである。スピロノラクトンは、アルドステロン受容体遮断薬であるが、アンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体遮断作用も有することが知られており、これら内分泌系への影響により、スピロノラクトン長期服用時に内分泌系の副作用(女性化乳房、乳房痛など)が発現することがある。なお、アムロジピンにも、頻度不明ではあるが女性化乳房の副作用が報告されている。
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